「恐怖」を克服する方法
Text=Takayoshi “Yanmer” Yamamoto(HALE Surf & Sail_Enoshima)
ウェイブシーズンど真ん中ですね。ウェイブライドとまではいかなくても、これまで自分が経験したことのないコンディションになると、風や海のパワーに翻弄されて、シメられて、ときには恐怖を感じることもあるでしょう。
それがトラウマになっちゃったりして。波に巻かれるのが怖くて、波があると海に出られなくなってしまったり。流されるのが怖くて、オフショアの海に出られなくなったり。飛ばされるのがいやで、強風に尻込みしてしまったり。新しい動きにチャレンジして失敗、その後のトライがうまくいかなくなってしまったり‥‥そんなとき、どうします?
「そんなことでどうするっ!」と、自分を叱咤激励して、恐怖に立ち向かっていくのが正攻法です。いい人、頑張っている人ほど、そうして恐怖に打ち勝とうとします──ちなみに嫌な奴は、人のせいにしたり、自然のせいにしたりするんですけどね──そして多くの場合、回数を重ねることで恐怖心を薄めていくことに成功します。
でも運悪く恐怖に恐怖を重ねてしまった場合、あるいは何らかの理由で次のチャレンジまでの間が空いてしまった場合には、自分の中でどんどん恐怖が膨張していきます。そうなると、とても厄介です。「今度こそ大丈夫」となんとか自分を奮い立たせても、やはり気持ちは恐怖に囚われたままであり、身体も強張ってしまいます。これはその前に失敗したときよりも明らかに悪い状態です。
そうなってしまったときに大切なのは、そういう状態にある自分を把握することです。と、猪突猛進にトライすることが最善の策ではないとわかります。しばし沈思黙考、何が怖いのか、分析してみましょう。恐怖の正体が明らかになれば、恐怖は薄らいでいくものです。どのように対処したらいいのか、自分なりに見当もついてきます。ある場合には、恐怖の中にある楽しさまでが見えてきたりもします。
そこまで考え抜くと、失敗したときにどうするかではなく、成功へのプロセスがイメージできるようになってきます。ネガティブ思考がポジティブ思考へとシフトして、身体も伸び伸びと動くようになってきます。
マイナスをプラスへ変換するトランジション思考法。これを身につけると、ぐんとウインドサーフィンが上手くなります。特に時間のないサンデーセイラーの皆さんに有効です。考えて、イメージをできるだけ鮮明にして、お試しください。
─── 山本隆義(ハレ サーフ&セイル_江の島)
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