ウインドサーフィン・エッセイ_16

いい波乗ろうね、波がなくても
Text=Takayoshi “Yanmer” Yamamoto(HALE Surf & Sail_Enoshima)

珍しく忙しい日が続いた。仕事でもプライベートでも色々あって、慣れないデスクワークが続いていた。で、二週間ぶりに海に出た。と、身体が拒否反応を示した。そして、腰を痛めた。

さらに海に出られない日が何日も続いた。腰が回復してきたと思ったら、また忙しくなった。思いっきり悪循環。「今は仕事に集中しよう。一区切りついたら思いっきり海に出よう。それまでは我慢だ」そう思おうとしたけれど、やめた。そういう考え方は僕には合わないみたいだ。

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Duotone 2022 / ⒸFishBowlDiaries

少しでも時間を作って、1時間でも、たとえ30分でも海に出た方がいい。それでなんとかバランスをキープできる。身体も気持ちもシャキッとする。陸での動きもスムーズになり、仕事の効率が高まる。だから、また海に出る時間を作れる。

こっちの循環に乗せてやる。そう思うことにした。というか、僕は忙しいときやなぜか海に出られないとき、無意識にそう思っているのだと思う。

忙しいときは疲れてもいる。だから最初の一歩を踏み出しにくい。それでも一歩踏み出せば、次の二歩目は楽になる。少し気合いを入れて三歩目までいけば、あとはオートマチックに回っていく。そういう好循環の波に乗っていたいと僕は思う。

風がない日はどうする? 僕は風速3m/sでも海にでる。ロングボードに乗って、ボードが水を切っていく感覚を楽しんだり、沖へ出てのんびりしたり、クラシカルなフリスタトリックを仕掛けてみたりする。たまに昔できていた技に失敗したりすると、思わず熱が入ってしまうこともある。そんなときには「できないってことは、楽しいってことだ」と思ったりもする。

微風、中風、強風、波なし、波あり。コンディションごとにできないことを探してみると、きっとウインドライフは充実する。いっぱいあるよね。

ウインドの幅を広げて、いい波乗ろうね、波がなくても。

─── 山本隆義ハレ サーフ&セイル_江の島


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