ウインドサーフィン・エッセイ_11

MENTAL WINDSURFING_3
「努力しろ」なんて、誰が言う?

まるでノーマークの決定的チャンスにゴールを外したストライカーが、次にディフェンダーに囲まれながら、難しいシュートを決める。そういうことがサッカーの世界ではたびたび起こる。なぜだろう? おそらくこういうことだ。

決定的チャンスでは「決めなくちゃ」という雑念が生まれる。それがストライカーから本来のスムーズな動きを奪ってしまう。一方難しい場面には何かを思う時間が存在しない。ストライカーはただ本能的に動くしかない。

それはつまり、顕在意識が働くとゴールを外してしまいやすく、顕在意識の活動が停止して潜在意識がフルに働いたとき(集中したとき)にはゴールを決めやすいということだ。

Robby Naish(US-1111)/ Ⓒ Fish Bowl Diaries_Naish 2021
Robby Naish(US-1111)/ Ⓒ Fish Bowl Diaries_Naish 2021

同じようなことはウインドサーフィンでも起こる。

「ここで技をメイクしなくちゃ」とか「ここで失敗したら」などと雑念が入ったときには、多くの場合身体のどこかに余計な力が入って動きがぎくしゃくしてしまう。

だとすれば・・・常に顕在意識の活動を抑制して、潜在意識の活動を活発化させたいものである。

ではどうすべきか?

まずは何とかいい状態にもっていこうなどと努力をしないこと。「努力しろ」なんて言うのは、いつだって顕在意識の方である。その内なる言葉は、ほとんどの場合叱責でしかない。そしてそれらはすべて不用意に発せられる。可能な限り排除すべきものである。

そしてあなたが次にすべきことは、自分がウインドに乗るのではなく、潜在意識に乗らせるようにすることだ。そうすれば幼い子供が歩き方を覚えるときのように、人目や世間体や見栄などを気にせずに、本来備わっている潜在能力を発揮できる。ウインドをより楽しく感じられるようになり、自然に上達できるようになるはずだ。

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▶︎〈ウインドサーフィン・エッセイ_09 / のんびり行こうぜ、オレたちは〉
▶︎〈ウインドサーフィン・エッセイ_08 / 非生真面目のススメ〉
▶︎〈ウインドサーフィン・エッセイ_07 / 風と共に動く〉
▶︎〈ウインドサーフィン・エッセイ_06 / 研ぎ澄まさえたパーになれ〉
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▶︎〈ウインドサーフィン・エッセイ_04 / 考えない人〉
▶︎〈ウインドサーフィン・エッセイ_03 / 目に見えるものに、たいして大事なものはない〉
▶︎〈ウインドサーフィン・エッセイ_02 / ふたつのリズム〉
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