『スポGOMI Ocean』で海岸・海上をクリーンアップ

「海上のゴミは、拾わなければ海底ゴミに」

Windsurfing Magazine
『スポGOMI Ocean』in Hayama_2022,06.05

残念なことだが海は多くのゴミが運ばれていく場所である。川の流れによって、あるいは海流にのって、国内外のゴミがそこへ辿り着く。その総量は想像を超えるほどで、世界で問題化しており、国連からもゴミ抑制を促す呼びかけがなされている。

それらは人間の活動によって生産され、人間が適切な処分を放棄することにより生まれるものだ。海に行くとわかる。それが負の無限ループであるように思われてなんともいえない気分になる。ウインドサーファーの中には参加した経験のある人も多いと思うが、ビーチクリーン活動を何度行っても、しばらくすればやはりゴミは集まってきてしまうのだ。

なかでも目立つのはプラスチックゴミだ。参考までに2018年の環境省の資料によれば、陸上から海洋に流出したプラスチックゴミの発生量(推計/年)ランキングでは1位が中国の132-353万トン、20位が米国の4-11万トンで、日本は30位の2-6万トンということだが、それでも海岸でプラスチックゴミを見かけない日はないほどだ。

ペットボトル、食品容器類、レジ袋、漁網やロープ、発泡スチロールなどなど、それらは全て丈夫なプラスチック製であり、完全に自然分解されることはない。つまり人間が回収しなければ、それらは半永久的にプラスチックゴミのままなのだ。もちろん紫外線を受けて劣化はする。脆くなり砕けて、あるいは千切れて、どんどん小さくなってはいく。だがそれがさらに問題を深刻化させてしまうことになる。

砂のように細かい粒子になったマイクロプラスチックは、もうそれとはわからぬ姿になって海岸に残り、海底に沈み、あるいは海に浮遊し続ける。それを魚が餌と間違えて摂取する。そして食物連鎖の鎖でつながれた地球全体の生き物の体内に取り込まれる。人間もその例外では決してない。そんな深刻な負の連鎖を放置しておいていいわけがない。

 

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『スポGOMI Ocean』in Hayama 9:45開会式~競技時間30分〜12:00イベント終了。全行程で2時間15分。短時間で行うこともできるからイベントを開催しやすい。これも『スポGOMI』の特徴のひとつだ。

|| 葉山の海岸と海上のゴミを一掃「ゴミ拾いはスポーツだ!」

▶︎6月5日、日曜日、環境の日。神奈川県三浦郡葉山町の長者ヶ崎海岸において『日本スポGOMI連盟』を運営する一般社団法人ソーシャルスポーツイニシアチブと日本ウインドサーフィン協会のコラボによる『スポGOMI Ocean』が開催された。合言葉は「海上のゴミは、拾わなければ海底ゴミ/海を漂うゴミが、回収不能なゴミになる前に/スポーツの力が、世界を変える」だ。

ご存知の方もいると思うが『スポGOMI』とは、環境美化とスポーツを融合させた「社会貢献活動」である。世界一優しいスポーツといわれている。チームで参加してゴミを収集し、そのゴミの種類と量でポイントを競う。誰もが参加できるし、楽しめる。その上満足感・達成感を共有しやすい。ネガティブな要素は何もない。ゆえにその活動は注目を集め、これまでに企業・自治体・学校など、様々なコミュニティがそのイベントを実施している。具体的にいえば、2008年に連盟が活動を開始してから今日までに、約1,000の大会が開催され、参加者数は延べ100,000人を超えている。

今回の『スポGOMI Ocean』はその海版であり、ビーチだけでなく海上に漂うゴミもウインドサーフィンとSUPに乗って回収するという点が画期的であり、もちろん初めての試みでもあった。

参加したのは地元の人々を中心に組まれた全9チーム、89名。それに現PWAウェイブ世界ランキング8位の杉匠真ら6名のプロウインドサーファーと、現葉山町・町長の山梨崇仁氏(かつてはアテネ五輪を目指していたウインドサーファー)も海上担当の一人として加わった。

競技時間は約30分。それでも思いをひとつにした参加者たちの力は大きく、多くのゴミが集められ、葉山の海は本来の姿に近づいたように見えた。みんなが笑顔でゴミ拾いをしていた。開会式ではチームごとにシュプレヒコールをあげ、閉会式ではみんなで健闘(?)を称えあった。イベント終了後には、ウインドサーフィンの試乗会やプロによるフリースタイルのデモンストレーションも行われ、みんなできれいな葉山の海を満喫した。

こんなイベント見たことないと思った。「ゴミ拾い」のネガティブなイメージはポジティブなそれへと完全に変換されていた。同時にこのようなイベントが、どれほどの意味を持つのか? とも考えた。

環境問題が叫ばれるようなって久しいが、環境対策はなかなか進んでいかない。世界はなかなか動いていかない。ならば一人ひとりが普段の行動に意味をもたせていくしかない。一人ひとりのつながりを強化し、拡大し、最大化、最適化していくこと。それを個人のつながりを超えた大きなムーブメントにつなげていくこと。それ以上に可能性を広げられる術はないのではないか? 『スポGOMI Ocean』は、参加者が楽しみながらそのための活動をできるという点で、きわめて優れたプログラムであると思う。またどこかの海岸でも開催されることを期待している。

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(上左)1位:葉山めいしょうbrothersチーム/(上右)2位:ラ・セーラ葉山チーム/(下左)3位:RUNハイうさぎチーム/(下右)葉山町長:山梨崇仁氏。ウインドサーファーでもある氏は、環境問題にも積極的に取り組んでいる。今イベントには海上班の一員として参加した。

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