1月26日、東京・江東区夢の島マリーナで平成30年度JSAF(Japan SAiling Federation=日本セーリング連盟)定期表彰式が開かれ、穴見知典(JPN-60)が日本のセーリングスポーツ界全体から選ばれる『優秀競技者賞』を受賞した。
この賞の資格基準は───1)オリンピック競技大会10位以内 2)世界選手権大会3位以内 3)アジア大会優勝 4)特定外洋競技並びに航海等3位以内、又はそれに匹敵する業績等 5)その他国際競技大会優勝 6)当該年度の優秀選手(国体を含む)となっているのだが、穴見は『2018年PWAフォイルクラス(初代)ユース・チャンピオン』になったことが認められ、今年度の優秀競技者25名のうちの1人に選出された。
穴見のコメント=「この表彰が自信につながりました。そして多くの方に応援していただいているのだと改めて知ることができました。今年も良い成績を残せるよう、練習に励み、世界に挑戦しようと思います」
||2019年、本当のフォイルレースが始まる||
前にも書いたが(※10月10日の記事参照)2018年、穴見は満足な道具で戦っていたわけではない。多くのトップ選手が開発されたばかりのフォイル専用ギアを用いるなか、穴見はスラロームと兼用のボードとセイル、そしてすでに市場に出回っていたフォイルでもがくようにレースしていた。巨大なコンストラクターズ・チームがひしめくF1レースで、ちっぽけなプライベート・チームが戦うみたいに。
讃えるべきはそれでもユース・チャンピオンになり、さらに年齢制限のないオーバーオール・ランキングでも26位に食い込んだことだ。世界ランカーになれるのは64名だが、その中のトップ32に名を連ねるのは、もちろん簡単なことではない。穴見は去年、世界で26番目に速いフォイル・レーサーだったのだ。それは驚くべきことだと僕は思う。
今年はPWAでフォイルが正式種目になって2年目になる。道具は進化し、おそらくほぼ全ての選手が専用ギアで戦う年になる。PWAの戦いは(他の多くの世界と同様に)資金力や開発力、サポート体制や練習環境なども含めて、不平等を平等に近づけて、さらに他の選手を凌駕する戦いであるわけだが、今季は少なくとも道具の面での選手間の差異は小さくなる(あくまで昨シーズンに比べればということだが)。
あるワールドカッパーの言によれば「フォイル専用ギアの一番のメリットは安定性を高めること」にある。それはつまり余計なトリムがいらなくなり、フォームが安定するということ。上り角度やトップスピードも向上し、スタートからフィニッシュまでのアベレージスピードも速くなるということだ。レースはいよいよ高速化し、さらに激しいものになる。
「今年も良い成績を残せるように」と穴見は言った。それを達成するのは並大抵のことではない。あるいはそれを達成したとしても、どこからも表彰されるようなことはないかもしれない。でも今季終了後のオーバーオール・ランキングで彼がトップ32以上のポジションに踏ん張っていたとすれば、それは去年以上に驚くべきことであり、讃えるべきことだろうと僕は思う。
「皆様、引き続き応援よろしくお願いいたします」と彼は言った。穴見の本当の勝負はこれから始まる。
────────────── Windsurfing Magazine ────────────── ウインドサーフィン マガジン ──────────────
▼2018 PWA OVERALL RANKING / FOIL MEN(64 Parson in All)