穴山未生_タヒチ・ライアテア島滞在記

風が吹いても、吹かなくても、
幸せな成りゆきが成立するその島で
Text by Mio Anayama(JPN-311)/ Photo by Tetsuya Satomura

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今年もまた『Tahiti Freeride Cup 2017』にご招待いただき、タヒチ、ライアテア島へ行ってまいりました!
去年も雑誌で紹介してもらったので、今年も同じような内容になってしまうかな? なんて少し心配していたのですが、今年は全然違うタヒチを見ることができました。でも実は例年なら風が吹く7月のことだったのですが、今年は風があまり吹かなかったんです。ただそのことで違うライアテア島を見ることができました。

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成立したレースはロングディスタンス1つと8の字スラローム1つだけ。
それだけ聞くとガッカリと思われてしまいそうですが、楽園は間違いなく楽園でした。
参加選手も申し分なくハイレベル。レディスには私と鈴木文子さんの他に、地元のレーサーでPWAにも参戦中のモエアタさんとマチルダちゃんがエントリー。メンズには日本のワールドカップで優勝したジュリアン・クエンテルやニュージランドのヤングガン、ジャック・ホリデーの顔もありました。

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吹かなかった、と言っても海に出てみようかな? と思うくらいの風はだいたい吹いていました。
風を感じたらカメラを持って海へ出て、綺麗な景色を撮影。弱くなってきたら戻ってきてビーチでのんびり。
早めにビールでも飲みますか、という幸せな成りゆきが成立します。

まったく風のない日にはちょっと近くの島まで船でピクニック。
このあたりでは一番有名なシュノーケルスポット、タハア島周辺は今まで見たこともないような綺麗な魚がいっぱいのカラフルな海でした。

ある時は「少し離れた島の周りは吹いてるらしい!」と聞いて船に道具を積んで出張プレーニングへ。
島から島へのダウンウインド・クロッシングも楽しみました。またある時は「アウターリーフでいい波が割れてるらしい」と聞いてみんなでボートでサーフィンに出かけたり、私たちが滞在している最中に近くの遺跡が世界遺産に登録されたので、そこへも全員で見学に赴きました。

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それもこれも、すべてレース日程に組み込まれているんです。
風がなくてもただ待ち続ける、なんてことはしない。
「今楽しめることを楽しもう!」それが大会実行委員長のクリストフ氏のポリシーのようです。
おかげで風のない日も忙しくすごし、タヒチの皆さんの最高のおもてなしで退屈することはありませんでした。

レース日程後半には念願の風が少し吹いてくれて、ロングディスタンスではフォイルのジュリアンが優勝!
そして8の字スラロームではジャックと文子さんが優勝して、私も3位に入りました。
このレースもマークがどこにあるのかわからないほど遠くに設定されていて、途中で風がなくなったり、たくさん下ったと思ったらたくさんタックをして上るハメになったりと、ウインドで冒険をしているようでした。島と島の間を駆け抜けるこの感じは、どこへ行っても味わったことのない壮大な感覚です。

私は間違いなくタヒチに人生観を変えてもらいました。
エメラルドグリーンの海を駆け抜けて、湧き出てくるような自然の中で優しい人たちと触れ合って、最後は別れを惜しむ。それがどれだけ貴重な体験になることか・・・。

なかなか簡単には行けない場所。ですが、是非自分の目で確かめて体感してみてほしい。
何度行っても本当にそう思うところです。

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Mio Anayama(JPN-311)
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