PWA WORLD TOUR 2019
EVENT_07 / Slalom Men # 4 & Freestyle Men #2 & Freestyle Women #2
July 25-July 29(Slalom)/ July 30- August 3(Freestyle)/ Sotavento, Fuerteventura
All Photo by John Carter_pwaworldtour.com
アントワン 対 マテオ、スラローム・ベストバウト
SLALOM_BEST BOUT_________________________
Antoine Albeau(F-192)vs. Matteo Iachino(ITA-140)
異次元の超高速マッチレース
I’d have to say that that maybe the best final I did in my life but it was a big big fight with Matteo.
「マテオとのビッグファイトは、自分史上最高のファイナルだったかもしれない」(アントワン・アルボー)
7月27日、大会3日目、17時06分、第6レースのファイナルがスタートする。ここまでの5レースで、ビッグ3の二人、ピエール・モーテフォンとマテオ・イアキーノはそれぞれ2度ずつ勝利しているが、大ボスのアントワン・アルボーだけがまだトップフィニッシュを果たしていない。アントワンとしては、このあたりで速さを示しておきたいところだ。
マテオとアントワンがスタートライン風下側からジャストスタートを切る。ファーストマークはアントワンが獲る。すぐ後ろについたマテオは、マークのインサイドを回って、風上側のポジションからアントワンを追い上げる。二人のボードが海面を跳ねながら疾走していく。航跡がクロスする。アントワンが風上へ、そしてまたマテオが風上へ。
風は強い。PWAの大型レーサーたちが6.2〜6.4㎡をチェイスする風だ。海面は荒れている。微妙に方向の異なるうねりと風波が混じり合い、海面には無数の頂点と無数の谷間が形成されている。だからボードは跳ねる。しかしスピードを緩めるわけにはいかない。
第2マーク、アントワンがリードを守る。二人の艇速はほぼ変わらないように見える。テイル・トゥ・ノーズで第3マークへ。アントワンがマテオのプレッシャーを受けながらジャイブする。そのとき大きめのうねりに乗り上げたアントワンのボードがわずかに失速、一瞬二人の差が詰まる。
沖の第4(最終)マークに向かう二人のボードが何度も跳ねる。何度もノーズが上を向き、それを何とか抑えて走っている。その度に海面に飛沫が飛び散り、二人のコントロールがギリギリであること物語る。ワイルドな海面をワイルドな二人が全速力で駆けてゆく。
最後のジャイブ、アントワンのラインが少し膨らみ、マテオがそのインを突く。抜いたか? 抜いた。しかしアントワンがすぐに追いつきサイド・バイ・サイド、デッド・ヒート、本当はどっちが速いのか? 最終レグ残り半分、そのときマテオのノーズが上がり、次の瞬間ノーズが海面に突き刺さる、アウチ、クラッシュ! それで終わり。
アントワン、今大会初勝利。これで潮目が変わった。アントワンの流れになった。その後アントワンは4日目の第7レースと5日目の第9レースでもトップフィニッシュ、この14年で12度目のフェルテベンチュラ・ウィナーとなり、年間ランキングでも単独トップの座についた。
ビッグボス、アントワン、第6レース終了後のコメント───マテオが僕のすぐ後ろでスピンアウトか何かをした。そして僕の背中にぶつかるようにして落ちたんだ。僕らは30ノット以上の風の中をフルスピードで疾走した。そんな状況では当然何かが起こるリスクは高まる。僕は全力を尽くした。マテオとの勝負に集中していた。フィニッシュラインを切ったあと、後ろを振り返ると他の選手はまだ遠く後ろを走っていた。僕らはそれほど互いをプッシュしていたということだ。
マテオは言った───(最終レグ)僕らはサイド・バイ・サイドでバトルしていた。そして僕は最後の勝負を仕掛けた。セイルを引き込んでフルパワーにして、OK、これならいけると感じた。でも次の瞬間ボードのノーズが上を向き、再びそれを抑えることができなかった。もちろん勝ちたかった。でもこれがレースだ。強風のレースはいい。楽しかったよ。
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