WSF TECH 07_高く飛ぶために

WSF TECH 07_High Jump
ハイジャンプのコツ by ヴィクター・フェルナンデス
Photo by John Carter_pwaworldtour.com

Victor Fernandez(E-42)/ ⒸJohn Carter_pwaworldtour.com
Victor Fernandez(E-42)/ ⒸJohn Carter_pwaworldtour.com

ウインド界の初代ハイ・フライヤー、ロビー・ナッシュ先生は言った。「ハイジャンプが一番好きだ。飛び出せば水面の抵抗から解放されて、ウインドサーフィンのエネルギーのすべてを発散できる。そこにはダイナミックな自由があるから」そして(5月26日の記事に続き)今回もご登場いただくヴィクター・フェルナンデスは、かつて来日したときにこう言っている。「ボトムターンだ、ループだと言う前にジャンプだ。それはキミのホームポイントでも、すぐにでも練習できるものだから」

特に若いウインドサーファーのみんな、すぐにでも練習を始めよう。ここに当時ヴィクターが教えてくれた「ハイジャンプのコツ」を掲載しておく。大事なことのひとつは、高く飛ぶほど興奮する、そのときに当たり前のことができるか否かということ。熱く飛び、クールに動く(あるいは動かない)ということだ。では早速、ヴィクター先生のお言葉を。

2_GC15_wv_E42_03951)飛び出し▶︎波のパワーポイント(最も掘れた場所)へ、できる限りのスピードでアプローチ。飛び出す直前に少しだけセイルを開く。そうすることでマスト加重が弱まり、ボードに上昇力が生まれる。足でリップを蹴り込む必要はない。直前に開いたセイルを飛び出し直後に引き付ければ、より強い上昇力が生まれる。

2)ジャンプ▶︎上昇中は肘、腰、膝を曲げ、すべてのパワーをハーネスのフック(丹田)に集め、セイルとボードと体を近づける(一体化する)。視線は上昇方向に向け、その視界にノーズが映り込むように前足を上空に突き出す。ただしボードの角度が海面に対して垂直に立ってしまうと、ボトムに当たる風が横向きの力を生んでしまうので、垂直になる手前で止めておく。セイルはできるだけ海面と平行にして、上昇するための揚力を生み出す。途中で開こうとするセイルを引き込み直すと、さらに高く飛べる。上昇するほど風は強くなるので、ブームはしっかり握っておくこと。

3)下降▶︎身体を小さくまとめたまま、セイルとボードを海面に対して平行に近づけていくようにコントロールしていく。下降する際の進行風に対して大きな抵抗を作り出すことで、ゆっくり降りていくことが可能になる。この際セイルが開き過ぎるとすべてがブレる。また閉じすぎるとフォワード方向に回転が始まる。セイルは開き過ぎない程度に閉じておく。

4)着水▶︎肘、腰、膝を徐々に伸ばしていきながら着水。このときのボードの理想の角度は45度(フラットに降りるとボードが折れる可能性が高まる)。テイルから降り、素早く滑らせるようにノーズまでを海面に合わせていく。高く飛ぶほどボードは深く沈みやすいので、ここでセイルに風を入れるのを忘れないこと。

最初から高く飛ぶことはできない。徐々に高さをだしていけばいい。最悪なのは途中で「こんなもんか」と思い込むこと。そう思ってしまうと高さも成長も止まってしまう。よく言われることだが、自分で限界を決めないことだ。ヴィクターは36歳だが、今もより高くと飛びまくっている。知らない景色を見ようとしている。

DCIM104GOPRO
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