PWA アジアラウンド 韓国大会_Day 5(5月22日|水)

PWA WORLD TOUR 2019
EVENT_04 / Slalom Men & Women #3, Foil Women #2
May 18-23 / Jinha Beach, Ulsan, Korea
All Photo by John Carter_pwaworldtour.com
アントワン、浅野則夫、アーノン・ダガン・・・

Antoine Albeau(FRA-192)|Ross Williams(GBR-83)|Norio Asano(JPN-25)
Antoine Albeau(FRA-192)|Ross Williams(GBR-83)|Norio Asano(JPN-25)

アントワン・アルボー/浅野則夫/アーノン・ダガン/バジル・ジャクイン=大会5日目、メンズスラローム第2レース2回戦、ヒート5の順位である。浅野は11×ワールドスラロームチャンプのアントワンに次ぐ2番手でファーストマークを回航すると、そのままアントワンとの差を詰めるでもなく、3位のアーノンに差を詰められるでもなく、ほぼ同じ距離を保ったままでレースコースを走りきった。このヒート2位でクォーターファイナル(トップ32の戦い)に進出した。

Arnon Dagan(ISR-1)|Norio Asano(JPN-25)|Antoine Albeau(FRA-192)
Arnon Dagan(ISR-1)|Norio Asano(JPN-25)|Antoine Albeau(FRA-192)

もちろん2回戦ではトップ3を走る選手は本気はださない。4位までに入れば次のクォーターファイナルに進めるから、無難に走ってリスクを遠ざけようとするものだ。それでもこのメンバーの中で2位を走る浅野を見て、これは速報しなければという気持ちになった。浅野は前日に行われた第1レース(2回戦)では、フルプレーニングでスタートを切れず、途中一人を抜いて4位まで上がったものの、第3マークで減速、第4マークまでのレグを上り気味に走らざるを得ない状況に追い込まれ、結局6位でヒートアップを逃している。

今日のレースでは、本人がブログで言うところの「ダメダメな」走りを修正し、可能な限り攻めにいったのだと思う。それがいい塩梅で奏功した。とてもいい景色だった。ワールドカップのスラロームでいいスタートを切り、ファーストマークのバトルに生き残るのがどれほど難しいことか。今日のこのレースで浅野はその仕事をやりきったのだ。結局次のクォーターファイナルでは8位と惨敗したが、今日のひとつの成功は、明日へ、次へとつながる確かな自信になったのではないか。ワールドカップの混戦に入り込めれば可能性は高まると。

女子では穴山未生が健闘している。第1レースのルーザース・ファイナルで1位(全体9位)となり、第2レースではファイナル進出を決めている。現在暫定6位だが、明日(23日、最終日)のレースでいい結果を残せれば、上位進出も夢ではない。穴山は艇速では十分世界の第二パックにいるように見える。スタートとジャイブで戦えれば(世界ではそれが難しいのだが)デルフィン・カズン、レナ・アーディル、マリオン・モーテフォンなど、世界の第一パックを形成する選手らとバトルだってできるはずだ。そういうレースが見てみたい。

Marianne Rautelin(FIN-13)|Miki Yamabe(JPN-131)|Mio Anayama(JPN-311)
Marianne Rautelin(FIN-13)|Miki Yamabe(JPN-131)|Mio Anayama(JPN-311)
Jordy Vonk(NED-69)Smokes The Pack
Jordy Vonk(NED-69)Smokes The Pack

それにしても韓国大会のメンズ・スラロームは荒れている。第1レース終了時のリザルト(5月22日現在の暫定リザルト ※メンズ第2レースのセミファイナルとファイナル、女子第2レースのファイナルは最終日に行われる予定になっている)を見ればそれがわかる。男子のトップ16に王者アントワンや去年ランキング3位のピエール・モーテフォンの名前はなく、二人は21位と25位に沈んでいる。その代わりに去年ランキング4位のジョーディ・ヴォンクがトップに立ち『PWA TV』のMCが「ダークホース」と叫んだタティ・フランスが2位にいる。だがそのタティも第2レースのクォーターファイナルでマルテ・ロイシャーと接触、ジャイブマークでのアクションが「デインジャラス・セイリング」と判定され、このレースが成立すれば、最下位のポイントが与えられることが確定している。

Taty Frans(NB-9)Gybes
Taty Frans(NB-9)Gybes

大会会場であるジンハ・ビーチの風は全く安定しなかった。超ガスティ&シフティで、あるレースの直前には「風速11〜21ノット(5.5〜10.5m/s!)」というアナウンスもあったようだった。ヒートは何度もキャンセルされ、何人もの選手がリコール(フライング)で失格した。途中で何度も中断があり、この日13:00にスタートしたレースは日の入り直前の19:14まで行われたのだが、その間に成立したのは男女含めてたったの21ヒートだけだった。(昨日もそうだったのだが)ストレスフルな一日だった。多くの選手がコンディションの罠にハマり、何人かの選手がその罠を利用することに成功した。そして普段のレースでは見られない多くのアップセット(番狂せ)が生まれた。

今日(23日)はアジアラウンドの最終日ということになる。レースが行われれば、また何かが起こるかもしれない。コンディションが不安定になるほど、レースは混迷することになるだろう。チャンスが誰に訪れるかはわからない。日本選手に巡ってくるかもしれない。とにかくあと1日、今季の分岐点のひとつになるだろう韓国大会に注目されたい。

Jordy Vonk(NED-69)Claims First World Tour Bullet
Jordy Vonk(NED-69)Claims First World Tour Bullet

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▼5月22日現在の暫定順位
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