【PWA The Final_99 Aloha Classic 2016】Day 14_4

《Day 14_4 / サラキタ怒濤の5連勝で『アロハの女王』に》
《 名越3位、モトコ5位、ニッポン女子も力を示す》

(念のためにもう一度)最終日(11月13日)ウィメンズクラス。波は頭~頭半。風はそこそこ吹いている。採点にジャンプが加えられることになる。ベスト1ジャンプ+ベスト2ウェイブピックアップ。その3つの合計点で勝敗が決まる。まずはこの日のオープニングヒートでサラキタがシングル・イリミネーションのトップ4への挑戦権を得る。

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5th Motoko Sato(J-0)Ⓒpwaworldtour.com_John Carter

そしてモトコと対戦する。4位以上&5位決定戦。
最初にサラキタがテイクオフ。女子とは思えぬ抉るターンからエアー、着水、額に手のひらをかざして「今の見た!」というように観衆とジャッジにアピールする。パーフェクト10!絶好調。サラキタは燃えていた。楽しんでいるようにも見えた。そのバランスが絶妙で、ゾーンに入っていたのかもしれない。
モトコも見事な演技をした。波の上での動きをスムーズに、時に爆発的にリンクさせ、流れ(flow)続けた。それにおそらく今大会の女子では唯一のバックループもメイクして(8.75)10点を獲得したサラキタを猛追した。だが届かなかった。最終的なポイント差は1.75。結果は5位。しかし12年振りに世界に挑戦した「Motoko」の名は、多くの人の記憶に刻まれたに違いない。

次。サラキタ対フィオナ(3位以上&4位決定戦)は、フィオナの骨折欠場《Day 5参照》によりサラキタの不戦勝。

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3rd Junko Nagoshi(J-11)Ⓒpwaworldtour.com_John Carter

そしてサラキタ対名越(2位以上&3位決定戦)。アンストッパブル! サラキタの勢いが止まらない。マイペースでガンガン乗りまくる。相手がいる試合の中で「自分の演技をする」のは難しいものだが、彼女はまさに自分に集中して、その中に溶け込んでいるように見える。ロングライドが目立つ。多くの波で3セットのターンをメイクする。
もちろん名越も負けていない。(たぶん)6本目の波ではサラキタと同じように3ターン、さらにはサラキタとは異なるバーチカルなアプローチでリップも決めた。しかしやはり届かない。サラキタはジャンプも含めて高いレベルで安定していた。名越は3位。『アロハ』の3位だ。

サラキタは慣れない大波の恐怖から解き放たれたからだろうか、6日目の彼女とは別人のように躍動した。驚いたのは、とにかくよく走ることだ。彼女はそのスピードで相対的にヒート時間を引き延ばし、何度もいいポジションを確保して、何度もアタックを仕掛けた。サッカーで言えば、世界最高レベルのサイドバックのように。そして最終的には価値ある得点をゲットした。

もうひとつ驚いたのは、サラキタは次のハウザーとのファイナルとスーパーファイナルでも負けなかったことだ。この2つのヒートではジャンプはカウントされなかった。風が落ちたからだ。それでサラキタの武器であるスピードの威力は半減した。結果、2ヒートとも接戦となったものの、最後はサラキタが0.5ポイント差でハウザーに競り勝ち「アロハの女王」になった。さて、その差はどこから生じたのか。波が小さく風が落ちたことにより、相対的にサラキタのパワーが際立つようになった。特にリッピング、テイルスライド、スナップバックなど、トップアクションにコンディションを凌駕する攻撃性とキレが生まれた。そのアグレッシブさがタクティカルなバトルを決着させたのではないか(という気がする)。

表彰式でサラキタは泣いた。それくらいタイトな戦いだった。世界の女子ウェイブは結構大変なことになってます。文中敬称略。選手の皆様、お許しください)

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1st Sarah-Quita Offringa(ARU-91)Ⓒpwaworldtour.com_John Carter