トップライダーの言葉_22 / ヴィクター・フェルナンデス(E-42)

「アドバイスは特効薬にもなるけれど・・・」

2008年、ヴィクター・フェルナンデス、24歳。18歳でワールドツアーにデビューして7年目。前年(2007年)にはPWAウェイブランキング2位となった。ジャンプではすでに世界トップの評価を得、ウェイブパフォーマンスの臨界を拡げるホープとして期待されていた。ヴィクターは、従来の常識や先入観の多くをぶち壊すほどの急成長を遂げていた。

▲ヴィクター・フェルナンデス_Victor Fernandez(E-42) 2001年PWAツアーにデビュー。スムーズなラインをベースに、ラディカルな360や高いダブルフォワードなどをメイクする現在最高レベルのウェイブパフォーマンス体現者の一人。3× PWAウェイブ・ワールド・チャンピオン(2010、2016、2018)。スペイン・アルメリマル(Almerimar)『(Windsurf, Surf & Sup)ヴィクター・フェルナンデス・センター』オーナー。1984年4月25日生まれ、36歳/ ⒸFanatic_FishBowlDiaries
ヴィクター・フェルナンデス_Victor Fernandez(E-42) 2001年PWAツアーにデビュー。スムーズなラインをベースに、ラディカルな360や高いダブルフォワードなどをメイクする現在最高レベルのウェイブパフォーマンス体現者の一人。3× PWAウェイブ・ワールド・チャンピオン(2010、2016、2018)。スペイン・アルメリマル(Almerimar)『(Windsurf, Surf & Sup)ヴィクター・フェルナンデス・センター』オーナー。1984年4月25日生まれ、36歳/ ⒸFanatic_FishBowlDiaries

──あなたは世界のトップレベルでライバルより早く成長している。何か特別な方法があるのですか。
「常に世界中を旅しているからだと思う。僕は世界各国のいろんなコンディションで乗っている。スペインのホームゲレンデ(アルメリマル)ではポートでもスタボーでも波に乗れる。夏はグランカナリー、強風でがんがんライディングする。プロとはいえ、意外に強風に慣れているライダーは少ないんだ。

マウイローカルは5.3㎡前後のセイルでポートライディングオンリー、(逆の風の)グランカナリーでしか乗らないプロもいる。あらゆる状況下で安定したライディングができることは大きなアドバンテージになる。

僕はポートでもスタボーでも、5.6でも3.5でも、10点満点のリップをしたい。僕がワールドツアーをフルカバーするのは、それが仕事だからではあるけれど、トレーニングでもあるからなんだ」

──例えば経験のないサイズの波や危険な技にトライするときは怖いでしょう? 克服する方法は。
「もちろん怖い。初めてダブル・フォワードにトライしようとしたとき、とてもじゃないけどいきなりは回れなかった。だから少しずつ問題を解決していった。まず(シングルの)プレーニング・フォワードを繰り返して、その高さと精度を上げていった。フランシスコ・ゴヤのダブルを何度もビデオで観察したりもした。いつだったか、ダブルフォワードをありありとイメージできるようになり、実際にトライした。怖くはなかった」

──例えばボトムターンには100もの「秘訣」があって、でもそれによって上達する人もいれば、うまくなれない人もいる。「秘訣」はどう取り入れたらいいのでしょう?
「秘訣は一般論だったり、あるケース、ある状態専用のケーススタディだったりする。でも、各自は違う。違うゲレンデで乗ってるし、技術もメンタリティも違う。あるアドバイスが、ある人には特効薬になり、ある人には毒になる。アドバイスは劇薬で、慎重に扱わねばならないものなんだ。そう意識するだけでも違うと思う」

当時日本にはワールドツアーをカバーする選手はいなかった。日本のプロはドメスティックで、独自の進化は遂げていたものの、世界のエッジとは遠く離れた場所にいた。ヴィクターの言葉も遠く聞こえた。

でも今は違う。日本にもヴィクターと同じような道を疾走する若手(石井孝良_20 / 杉匠真_18 / 石井颯太_15 ら)がいる。僕らはNBAに八村塁を見るように、PWAに彼らを見ることができる。世界は確実に近くなった。僕らがいるこの海も世界とつながっている。そう思える。そのことが日本のウインド界にもたらす波及効果は計り知れない。新たなシーズンの開幕が待ち遠しい。

Duotone_Wave Freestyle Highlights 2021
▶︎https://www.youtube.com/watch?v=2yopUexIlxs

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