御前崎に世界のトップ・ウェイバーがやって来る
10月28日、2018_IWTツアー最終戦『アロハ・クラシック』の開幕日にビッグニュースが飛び込んできた。情報の出どころは「IWT OMAEZAKI 実行委員会」。その短いプレス・リリースには次のようにある。
───『IWT OMAEZAKI(仮称)』の日程が確定しました。来年3月、その大会は来季10周年を迎えるIWAツアーのオープニング・イベントとして開催される予定です。設定ディビジョン(クラス)は8つ。プロのみならず、一般のウインドサーファーも参加できるビッグイベントになるはずです。ご期待ください。
▶︎開催日:2019年3月5日(火)~3月10日(日)▶︎大会会場:御前崎ロングビーチ ▶︎ディビジョン(クラス):Pro Men / Pro Women / Amateur Open / Amateur Women / Junior Boys / Junior Girls / Masters / G Masters ▶︎参加選手:国内外から合わせて60名以上(予定) ※その他詳細については後日発表───
御前崎(日本)に世界のトップ・ウェイバーがやって来るのは、2016年に開催された『World Performance』以来3年振りということになる。当時の大会では、やはり世界は(その距離が測れないほど)遥かに遠いということを思い知らされ、世界のアクションにただただ驚かされたものだった。日本選手は波乗りで差をつけられ、ジャンプの高さや完成度で圧倒され、難易度の高い3Dトリックで駄目を押された。そのとき来日していた四人の外人選手(アレックス・ムッソリーニ / ジェイガー・ストーン / アントワン・マーチン / グラハム・イジー)に1位から4位までを奪われて、日本が世界基準にないことをはっきりと見せつけられてしまった。
でも今は違う。日本には初めから日本の枠を飛び出して、世界を目指して戦っている若手が多くいる。2017年の『アロハ・クラシック』と今年の IWT_モロッコ大会のユースクラスで優勝した石井孝良(17歳)。今やPWAの常連で今年のテネリフェ大会のU-17クラスで優勝した杉匠真(16歳)。去年の『アロハ・クラシック』プロクラスでシングル入り(9位)を果たした板庇雄馬(26歳)など。すでに世界でも名を知られるようになった彼らがその筆頭格だが、生駒篤樹(16歳)や石井颯太(13歳)など、彼らに続かんとするユース世代の有望選手が続々と生まれている(※下の IWT 2018 Wave_Youth Ranking 参照)。
若い彼らに共通していることは、オールラウンド・ウェイバーになることを目指しているということだ。風がポートでもスタボーでも、波乗りもジャンプもトリックも上手くなければ世界では勝てない。小さな頃からそう認識してきた彼らはバランスよく、しかも急速な成長を続け、世界に通用するウェイブライダーになろうとしている。彼らにはコンディションに対する苦手意識がなく(あるいは薄く)年齢などに対するコンプレックスもない。あるのは計り知れないほどに広大な伸びしろと希望だけだ。
これまで御前崎で行われるウェイブの世界大会は、いわば「招待試合」のようなものだった。日本選手は世界のトップライダーの胸を借りて「当たった砕ける」のが常だった。だが今回は違う。もちろん世界のトップライダーに勝つのは至難だが、迎撃準備はできている。若い彼らは正面切ってファイティング・ポーズを取り、ヒート開始のホーンとともに勢いよく海に出る。そしてラディカルに波に乗り、高くジャンプして、3Dトリックも仕掛けていくことだろう。何も諦めない。そして最後まで勝ちにいく。
彼らのそういう姿勢によって、日本と世界との距離が明らかになる。『IWT OMAEZAKI 2019』はきっとそういう試合になる。2019年3月、日本における史上最高のウェイブバトルがそこで展開されることになるかもしれない。
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