PWA W杯スラロームでフォイルがフィンに圧勝!

2021 Tiberias Israel PWA World Cup
PWA EVENT_04 / Slalom Men & Women, Foil Women
June 21-June 25 / Lake Galilee, Tiberias, Israel
Photo by John Carter_pwaworldtour.com
速報 ニコラス・ゴヤード、フォイルで断トツフィニッシュ!

Nicolas Goyard(F-465)Leads the Pack / ⒸJohn Carter_pwaworldcup.com
Nicolas Goyard(F-465)Leads the Pack / ⒸJohn Carter_pwaworldcup.com

(6月21日、イスラエル北部ティべリア・ガラリア湖)

2019年11月のニューカレドニア大会以来、ほぼ19ヶ月ぶりに開催されているPWAのイベント、イスラエル大会のスラローム第1レースは衝撃的な展開となった。今大会のメンズのスラロームは、フィンでもフォイルでも選択可能な、いわばミックススラロームレースとして行われている。大会前にはライトウインドならフォイル、強風ならフィン中心のレースになるだろうと予測されていた。

この日のファイナルはブローで25ノット(12.5m/s)オーバー、ガスティな強風下で行われた。ファイナリスト8名中の7名は従来通りにフィンを選択した。唯一フォイルを選んだのは、2019年のフォイル世界チャンピオン、ニコラス・ゴヤードだけだった。

スタートからニコラスが飛び出す。そのまま静かに第1マークを回航する。後続のフィンレーサーたちはマーク付近で水飛沫を上げながら賑やかにバトルしている。ニコラスは一人、フライトを続ける。半ばリフトを止めたフィンレーサーたちが再びプレーニングへとパンピングする中で、両者の差が広がっていく。第2、第3、第4マークでも同じことが繰り返され、ニコラスがぶっちぎりでフィニッシュラインを通過する。ガッツポーズ!

ニコラスだけがずっとフライトを続けていた。マーキングでも直線レグでも、チョッピーな湖面が嘘のようにスムーズに、その時々のトップスピードをキープしていた。フィンレーサーたちはバタバタしていた。これまではそうは見えなかったのだが、ニコラスが駆るフォイルに比べると、明らかにボードの動きが激しく、その度に減速と加速を繰り返していた。

これでは勝てない。ニコラス以外のファイナリストたちはそう思ったに違いない。少なくとも今日のこのコンディションでは、フィンは(ニコラスが駆る)フォイルには敵わない。かつてコースレーシングでショートボードがロングボードを駆逐したように、ヨットの世界でフォイルが従来型システムを無力化したように、スラロームレースは確かに変革期を迎えているのだと。

いずれこうなるだろうとは思っていた。水中での抵抗を考えればフィンはフォイルより小さいが、ボード(ボトム)の接水面の抵抗を考えれば、フォイルのそれはゼロにすることができるのだ。だがその時がこれほど早く訪れるとは。多くのトップレーサーもそう思っていたはずだ。だから信頼度の高いフィンを使った。だがもうそれでは(それだけでは)勝てない。ニコラスがそのことを証明してしまったのだ。

イスラエル大会は25日まで続く。スラローム激変の歴史が紡がれていくことになるだろう。

Nicolas Goyard(F-465)on Top/ ⒸJohn Carter_pwaworldcup.com
Nicolas Goyard(F-465)on Top/ ⒸJohn Carter_pwaworldcup.com

イスラエル大会第1レースリザルト▶︎1位=ニコラス・ゴヤード(F-465)/2位=エンリコ・マロッティ(CRO-401)/3位=イングマール・ダルドルフ(NED-191)/4位=マチェック・ルコウスキー(POL-23)/5位=バジル・ジャキン(FRA-498)/6位=ピエール・モーテフォン(F-14)/7位=アレキサンダー・カズン(FRA-752)/=8位=アントワン・アルボー(F-192)

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