東京五輪 江の島沖でリベンジを
Photo by Official International RS:X Class Association
2020年東京オリンピックのセーリング、RS:X級男子代表に富澤慎が内定した。富澤は9月28日に終了したRS:X級ウインドサーフィン世界選手権(イタリア・トルボレ)で10位に入り、日本セーリング連盟が定めた規定をクリア。五輪代表に選考されたのだ。今後、同連盟理事会の承認を経て、日本オリンピック委員会(JOC)に推薦され、JOCの承認により、正式決定となる運びである。
最終選考レースとなったイタリアでの世界選手権において、富澤はゴールドフリート(決勝メダルレース)に進出、総合10位の結果を残した。東京五輪を約一年後に控え、世界のトップレーサーの多く(全129艇)が参戦したそのレースで、トップ10に食い込んだのである(リザルト表参照)。
富澤は2008年24歳で北京、以降ロンドン、リオと3大会連続でオリンピック出場を果たし、それぞれ10位、28位、15位の結果を残している。もちろん満足などしていない。だから東京五輪に向けて、自らを変えるために、リオ大会の銀メダリストであるニック・デンプシー(イギリス)にコーチングを依頼した。そして変わった。今大会のゴールドフリート・第3レースで3位フィニッシュを果たした富澤は、35歳にして進化している自分を感じているに違いない。
ハマれば速い。以前からそう言われていた。今はハマる領域が広くなり、爆発力も増している。怖いもの知らずだった若者が怖いものを知り、世界の壁を感じて、そして富澤は強くなったのだ。相手にレースをさせまいとするライバルたちのなかで、今は自分のレースができるようになっているのではないか? という気がする
こういう状況では、こうなる、だからこう動く。そういう引き出しも富澤の中にはたくさんある。しかも今度の五輪のレース会場は慣れ親しんだ江の島沖だ。微風でも強風でも、どこをどう走ればいいかもわかっている。
オリンピックの借りはオリンピックでしか返せない。そのリベンジを果たすのに最高の舞台を富澤は走ることになる。勢い込みすぎることなく、かといって相手を見すぎることもなく、きっと純度の高い自分のレースを貫き通してくれるだろう。そのとき、何が起きるか。楽しみに待ちたい。
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2019 RS:X Windsurfing World Championships_2019.09.22-28, Torbole, Italy
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