3分41秒のウインドサーフィン・ヒストリー

ウインドサーファー艇、未来へ走る

1967年、ウインドサーフィンは当時エレクトロニクス・エンジニアだったホイル・シュワイツァー(Hoyle Schweitzer)と、彼の友人であるジム・ドレイク(Jim Drake)によって発明された。それから半世紀を経た昨年、その原型ともいえる『ウインドサーファー艇』がリファインされて復活し、また世界の海に浮かんでいる。ワンデザインレースも開催されるようになり、世界各地でかつての「サーファー艇経験者」と「若いサーファー艇乗り」が同じフィールド、同じコンディションで、道具に左右されないレースに熱くなり始めている。

2019_Starboard / WINDSURFER LT.
2019_Starboard / WINDSURFER LT.

ここに紹介するのは昨年夏、スターボードが公開したビデオクリップである。その中ではホイルの息子であり、1974年に『ウインドサーファー・ワールド』の初代チャンプになったマット・シュワイツァー(Matt Schweitzer / 58歳)と、その息子であるゼイン・シュワイツァー(Zane Schweitzer / 24歳)が今のウインドサーファー艇で遊んでいる。マットはかつての感覚を思い出すように、ゼインは父の時代のウインドサーフィンの感触を確かめるみたいに。

いろいろ思うところはあるのだが、今回この動画を見て一番強く感じたことは、こういうボード───全長366cm、最大幅74cm、ボリューム229ℓ。直進安定性に優れるので誰にでも乗りやすく、しかし乗りこなすにはそれ相当の技術を要するロングボード───があればウインドサーフィンはファミリースポーツにもなるし、生涯スポーツにもなり得るだろうということだ。

ウインドサーフィンはこの50年のあいだに、ネイチャースポーツとは思えぬほどのスピードを手に入れた。ビッグウェイブも上空もプレイフィールドに変え、スローモーションで確認しても、にわかには理解できないほどの複雑な動きをメイクするまでの運動性能を身につけた。今もそのピークは、日に日に高さを増している。

でもその反動というべきか、このスポーツの裾野の有り様にはあまり目が向けられてこなかった。みんながプレーニングやレースやウェイブやフリースタイルに熱中するあまりに、スピード性に劣るロングボードのほとんどは、いつの間にか姿を消してしまっていた。微風でも走り、初心者でも水上でグライド感を覚えられるという高い性能を有しているにもかかわらず。そしてそれが一因となり、ウインドサーフィンの裾野は荒れ、痩せてしまった。それだけではない。ピークパフォーマンスを追うことに疲れてしまった、という理由でこのスポーツから離れてしまった中・上級者も少なくない。

『Neo Classical Windsurfing』という言葉が頭に浮かぶ。新しいウインドサーファー艇は、ウインドサーフィンが歴史を紡いでいくために必要な道具として復活したような気がする。このボードに乗れば、誰でも─── 板一枚を隔てるだけで、ほぼダイレクトに───海上をスムーズに移動しながら風を感じることができる。雄大な景色を眺めながら、自分がその景色の中の一部であることを感じることもでき、嬉しくなったり、少し不安になったりもするだろう。

ウインドサーフィン以外でそんな体験はなかなかできない。ウインドサーファー艇は、より多くの人たちに、このスポーツに失われていた根源的な喜びや愉しみを感じてもらうために復活したのだ。僕はこの動画を見てそう思う。
みなさんは何を感じますか?
過去と現在、そして未来もイメージできる(と僕には思える)ウインドサーフィンの歴史の一端をご覧ください。

2019 “Starboard / WINDSURFER LT” with Matt Schweitzer The First World Champion of Our Sports

────────────── Windsurfing Magazine ────────────── ウインドサーフィン マガジン ──────────────

“The new Windsurfer LT planes out much faster & easier than the old stock windsurfer. With the lighter design & increased volume, this is a very user-friendly board for the masses. With this type of board, this could be the key that is needed to give windsurfing its much-deserved comeback in light wind conditions!”

Matt Schweitzer – the living legend who’s father invented Windsurfing. Matt won his first World Championship Windsurfing title at the young age of 16 and is considered being one of the most historical and influential windsurfers all time.