特派員報告=神奈川県横浜海の公園支部
西村栄治(スピードウォール)
もうすぐ春です。 全国のみなさま、はじめまして。横浜のウインドサーフィン・ショップ『スピードウォール』から発信いたします。まずは私たちのホームゲレンデ『横浜海の公園』の紹介から。
『横浜海の公園』は、横浜市の最南端・金沢区に位置し、正面には上野や和歌山のパンダにも負けないくらいに可愛らしいシロイルカが有名な海のテーマパーク『八景島シーパラダイス』が浮かんでいます。その施設の一部である海に突き出たジェットコースターの右手には、世界に誇るスポーツ車『GT-R』や自動運転の『セレナ』も走ったであろう日産自動車追浜工場のテストコースが、さらにはかの伊藤博文が大日本帝国憲法の草案の作成に明け暮れたといわれる別荘や、ドラマ『昼顔』で上戸彩がママチャリを走らせた平潟湾があり、公園の背後には日本最古の武家文庫・金沢文庫を背負うなど、そこは古今・ジャンルを問わない話題の名所に囲まれたところです。
園内を一周できるコースにはお散歩やジョギングをする人たちがいて、グラウンドにはサッカーやバスケの3オン3などに興じる人々もいて、駐車場ではテニスの壁打ちも可能です。また砂浜にもビーチバレーのネットが張られており、結構マジで打ち込むグループがいたり、近所にあるラグビーの強豪校関東学院や甲子園の常連横浜高校の選手もよくトレーニングにやって来て、砂まみれになりながら汗を流しています。とにかく至る所でスポーツが楽しまれている公園です。
肝心な波打ち際や海の上はどうかというと、約1キロ四方の小さな箱庭のようなゲレンデにウインドサーフィンやSUPはもちろん、カヌー、ライフセービング、オープンオーシャンスイミングを楽しんでいる方などもおられます。沖の方には貸ボートで釣りをする人、休憩中の大型ヨット。豪華なクルーザーで乗りつけるパリピも夏にはお決まりの光景の一部といったところです。ゴールデンウィークには20万人が訪れるという潮干狩りも有名ですが、それについては(その惨状も含め)別の機会に詳しく語ることにいたしましょう。
さて、駐車場が整備され、セイルを組み立てたりのんびりお昼を食べたりできる芝生がひろがり、一度に四人分のセイルをバラさずに丸洗いできる洗い場があったりと、夢のような施設が整い、全国一の人口を抱える大都市横浜で唯一のゲレンデですから、ビーチはいつでも「さぞ賑やかなのでは?」と思われるかもしれませんが、今の時期(1、2月)は、ある者は御前崎に波を求めて遠征し、またある者は暖かくエメラルドグリーンに透き通った海水に浸かりに旅立ち、残った者の大半は寒さに震えて家の中をおろおろ歩きと、残念ながらここの海に浮かぶウインドサーファーは、休日でも片手で数えられるほど、なんてこともしばしばです。
そんな寂しいビーチに人が戻って来て、賑やかさを取り戻すのが春一番が吹く日です。
山を隔てたお隣の湘南には強風が吹き荒れ、背丈ほどの波が立ちますから、ウェイブ大好きなエキスパートたちはそちらへ行かれることが多いのですが、逆に普段は鎌倉や江ノ島で乗っているという非エキスパートさんたちが波から逃れにこちらにやって来るというのもこの季節の『海の公園』の風物詩となっています。
風は右からのサイドショア。湘南では3㎡台の爆風もここでは4.5~5.5㎡で乗れる風になることが多いようです。南風が山を越える間に弱まってガスティになること、そして何より波がほとんど立たないことで、あまりお上手じゃない方でも何とか乗れちゃうのがこのゲレンデの特徴のひとつです。「ウインド人生初の強風体験が海の公園の春一番」っていう人も、結構多いのではと思われます。
春はもうすぐそこまで来ています。コタツでゴロゴロ、スマホ片手にこれを読んでいるあなたも、小さいセイルを買って準備万端なあなたも『海の公園』の『春一番』に乗りに来てください。待ってます。
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