Aloha Classic 2017
佐藤素子と板庇雄馬は、それぞれ
セミファイナルとクォーターファイナルに進出
11月6日、月曜日(大会9日目)。
昨日ユースクラスで優勝した石井孝良と、準優勝の杉匠真がプロクラスのヒートに挑戦した。
ベスト32がベスト16を目指して戦うラウンド3。1ヒートは4人で、上位2人が次のクォーターファイナルに進出する。
コンディションはこれまでのなかでは一番いい。風も比較的安定しており、波もロゴハイくらいのセットが次々とブレイクしていく。
石井孝良は第1ラウンドをトップで通過、杉匠真は第1ラウンド3位で敗退したものの、第2ラウンドの敗者復活戦で見事に復活、このラウンドに辿り着いた。当たり前のことだが、プロクラスに年齢差など関係ない。皆が相手を潰しにくる。というか、皆がベストを出そうとする。このラウンドは「流して」などと考える選手はおそらく一人もいない。
ガンチンコ勝負。下がその結果だ。
石井(16歳)はカミール・ジュバン(27歳)、モーリッツ・マーチ(21歳)に、杉(15歳)はバーンド・ロディガー(21歳)、アントワン・マーチン(24歳)に届かなかった。採点表を見れば「有名選手に完敗した」といっていい。
しかし二人はウェイブの聖地ホキーパで、一流選手と真剣勝負をすることでしか得られない大事なものを手にしたはずだ。いくつもの学びがあり、自分や相手を計る精緻な物差しのようなものを体内にインプットすることもできただろう。
経験は時に人に(妥協や諦め、不安や恐怖、トラウマなど)ネガティブな作用ももたらすものだが、しかし今大会における二人の経験は、おそらく彼らの可能性を拡げるためのポジティブな材料にしかならない。
杉はブログのなかで「レベル高すぎ」と言っているが、彼も石井も、何年か後には今回の対戦相手のレベルに追いつき、あるいはそれを越えているかもしれない。二人は今、そのための材料を摂取している。若い二人のなかで、それらは効率的に分解吸収されていく。
こういう言い方もできるかもしれない。二人は今回有名プロたちに飲み込まれたわけではない。
彼らから多くの滋養分を引き出して、それらをごくんと飲み込んだのだ。
スポーツにおける記録や物語は、多くの場合そのような行為を繰り返す若者によって更新される。
日本のユースの『アロハクラシック2017』は終わった。
しかし二人のなかの好循環は続いている。(文中敬称略)
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