【トップライダーの言葉_02_スコット・マッカーシャー】

《 怒りを上達のエナジーに 》

「あったまくんな、ったく」
ウインドをしていると、ビギナーでもエキスパートでも、そういう気分になること、ありますよね。できない自分に腹を立てること。
でも、いーんです。抑えなくても。ウインドにその鬱憤をぶつければ。僕はスコットに訊いたことがある。上達のコツは? という、なんともぼんやりとした質問に、彼はこう答えてくれた。

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Scott McKercher(KA-181)ⒸSeverne_John Carter

「何も考えずにウインドに没頭すること。すると、やがてその瞬間が訪れる。それは偶然ではない。脳内にそのときそのように身体を反応させる回路ができたということだ。ウインドは簡単ではない。すぐにはできないことが多い。でも諦めない。『オレは何がしたいのか?』その欲求を確認して没頭する。
それでもできなければ怒ればいい。なぜこんなことができないのか、何を怯えているんだと、自分自身をプッシュする。怒りはエナジーであり、ウインドはメンタルゲームだ。恐怖や諦めなど、心の中のネガティブなものは、怒りのエナジーで払拭してしまえばいいだけだ。それでもできなければ、何故できなかったか、そのとき何が起きていたのか。そのプロセスを分析して理解に努める。するとあるとき『あ、そっか』というような気づきがある。その気づきはポジティブな信号として身体に伝わる。身体はウインド能力を高め、その動きを記憶し、やがてオートマチックに動くようになる。僕はその繰り返しで上達してきた。今でも伸びていると感じる。
いいかい。上達のプロセスをまとめるよ。
没頭→失敗→怒り→トライ→欲求の確認→失敗の分析と理解→没頭。それしかない、と僕は思う」

スコットは陸の上ではとても優しいナイスガイだ。海の上で怒り、発散して(たぶん今も)上達を感じて、気持ちよくなっているからかもしれない。たぶんそのことは、彼の性格形成に深く関係していると思われる。ウインドに夢中になっている人に悪い人はいない(たぶん)。大いに発散・解放しようではありませんか。

▲Scott McKercher(KA-181)1992年22歳でPWAツアーにデビュー。当時から玄人受けするパワフルでスムーズなライディングが持ち味で、瞬く間に世界のトップライダーに。2004年PWAウェイブ・ワールドチャンプ。2008年PWAツアー引退。ホームの西オーストラリアで今も「以前より乗っている」46歳のウインドジャンキー。
▲Scott McKercher(KA-181)1992年22歳でPWAツアーにデビュー。当時から玄人受けするパワフルでスムーズなライディングが持ち味で、瞬く間に世界のトップライダーに。2004年PWAウェイブ・ワールドチャンプ。2008年PWAツアー引退。ホームの西オーストラリアで今も「以前より乗っている」46歳のウインドジャンキー。