《 リカルド・カンペロ「ラスト二分の奇跡」》
11月13日『アロハ』が終わった。いろんなところで速報をご覧になっていると思うので、ここではこれまで通り(フェイスブックなのに手紙みたいに)二日遅れの情報をお伝えしていきます。14日目の最終日まで、大会の余韻に浸るように。
11月11日、大会12日目。5日連続のレイデイ。ちょうどいい。まだ紹介しておきたい選手がいる。リカルド・カンペロ(V-111)。国籍はブラジル、ヴェネゼイラ在住の31歳。PWAのレポートは、彼のことをこう言っている。
「いつだって予想を裏切る。何をするかはわからない。PWAで最もエキサイティングなセイラーの一人である」
そのリカルドが大会6日目、敗者復活戦の三回戦───ヒート39 /相手はクラース、キース、ヴィクター───で奇跡を起こした。残り二分で二本のスーパーアクションを決め、ヒート最下位からトップへジャンプアップ、次のラウンドへ進出したのだ。
「ラスト二分の奇跡」それがどんなライディングだったか。選手兼MCとして今大会を大いに盛り上げたカイ・カチャドリアンに語ってもらった。
「(波周りの悪い)逆境に耐えつつ、リカルドは最後にホキーパのフェイスに傑作を描いた。彼は残り二分で二本のビッグスコアを必要としていた。諦めてはいなかった。一本目。まずはパーフェクトなエアータカを交えたライディングをメイク、8.25ポイント。しかし、まだ足りない。残りは一分。間に合うか。無理だ。誰もが思った。しかしそれでもゲティングアウト。ヒート終了のホーンが鳴る直前に最後の波にテイクオフ。ダウン・ザ・ライン、波のボトムとトップを抉る(樵が斧で大木を割るよな)ディープターン、ビッグスプレー、そして最後に完璧なフロント360(9.00)! 電光石火。リカルドはそれで一気にライバルたちを飛び越えてしまった。それはルーザースヒートで最高の、記録されるべき二分間であった」
リカルドは、このようにして大会を、ギャラリーを熱くする。しかしある場合には、まるで別人みたいにころりと負ける。今大会もルーザースのベスト4を賭けたヒート(43)で最下位。結果、11位タイで試合を終えた(年間ランキングは13位)。
リカルドとは(今のところ)そういう男で、僕はそんな彼も好きなのだが、本当はもっと凄いのだ。海上で誰よりキラキラ輝ける男である。しかしもう書き過ぎである。なので、そのことについてはまた明日。マハロ。