《Day 8 / ダブルマストのファンウェイブ?》
それにしてもこんなに波がデカくて怖くないんですかねえ、プロの人たちは? 去年トライアルを勝ち上がり『アロハ』本戦に出場した野口貴史プロに訊いてみた。
「ええ、去年もダブル(マスト)はありましたよ。そりゃあ怖い、ヤバい!って思います。でもその感情に支配されてしまうと何もできなくなっちゃうので、僕の場合は波に乗ることに集中しました。いいイメージを描くように。ただ世界のトッププロは、特にマウイのローカルたちは楽しんでますよ、その状況を。ジョーズの波に乗ったりもしてるから、大きな波に慣れていて、余裕がある。その経験値の高さが楽しめる強さにつながっている。えっ、一番怖いのはどんな時か、ですか? ボトムターンでギャップを拾ってしまった時です。そこで転ぶとドッカーン、もう最悪ですから。でもそうなってしまったら、ただ息を止めて、身体が浮き上がってくるのを待つ。実はそういうトレーニングもしてるんです。どんな場合にもパニックにだけは陥らないように」
僕(筆者)は頭くらいの波に巻かれて泣きそうになったことがある。水もたらふく飲んだ(塩分摂り過ぎで血圧が上がるくらいに)。ダブル(マスト)と言えば、その4倍以上の波だ(ハワイの計測法だともっとデカい)。それを自分の中で正しく拡大イメージするのは難しいし、あまり考えたくもない。プロはさすがだとしか言いようがない。
でもだからといって、彼らの世界を別の世界だとは思わない。僕はメジャーリーグの中継を見つめる野球少年(?)のように、彼らの試合をライディングを楽しんでいます。
11月7日、大会8日目は Lay Day=休息日。風はないものの、波はさらに盛り上がっている模様(ジョーズも大ブレイクしたみたいだ)。大会は大波でクライマックスを迎える公算が高い。その状況を世界で一番楽しめるのは誰か? 感情移入はしにくいかもしれないけれど「オー、クレイジー」とか「シック!」とか言いながら、時々息をのむようにしてライブ映像を見るのはとても楽しい。時間があれば、みなさんも。