「ロビー・ナッシュは、波にも乗るが風にも乗る」
以前の記録を調べていると、頻繁にロビー・ナッシュの写真や彼に関する記述がでてきて手が止まる。ウインドサーフィン界最初で最大のスターであるロビーは、いくつもの伝説を残し、だからこそ説得力があり示唆に富む多くの言葉も残している。だから困ったことにロビー以外のことを調べている場合には、そこで仕事が止まってしまう。引越しの準備をしているときに古いアルバムなんかが見つかって、そこには多くの場合伝説のようなものはないのだが、どうしても無視することができなくなってしまうみたいに。
今回はそんな状況の中で、ダイヤモンドのように輝く言葉を見つけた。ロビーの言葉ではなく、ロビーを評した言葉だ。ウインド界の帝王であるロビーを評するには覚悟がいるので、その評言自体が珍しいものなのだが、言葉の主がジェリー・ロペスであるということで、さらにその言葉の希少性と重みと輝きが増している。
ジェリー・ロペス(Gerry Lopez)=1948年、ハワイ、ホノルル生まれ。「パイプライン・マスター」「サーフィンの神様」などと呼ばれるカリスマ。1980年には当時在住していたマウイでウインドサーフィンを始め、以後マスターズクラスでは常に優勝候補に挙げられるトップセイラーとしても活躍した。
そのジェリー・ロペスが言ったのだ。
「ロビー・ナッシュは、波にも乗るが風にも乗る」
波の力を使った動きを追求するならサーフィンだが、ウインドサーフィンで波に乗れば風も使える。そのぶんボトムターンにスピードが生まれて、さらに進行風が強まって、加速しながらダウン・ザ・ラインしていくことも可能になる。ウインドなら波に乗ってからも掛け算で運動エネルギーが増していく。
ジェリーさんは、ロビーさんのウェイブライディングを見てそう思った、のかもしれない。
ウインドサーフィンは風に乗るスポーツである。ウェイブでも普段のフリーライディングでも、そのことを忘れてしまうと進歩や快感を得にくくなって楽しさが半減する(ある場合には辛さを感じるようになったりもする)。
オレは風に乗れているか? 時々自分にそう問いかけてみると、何かが変わるかもしれない。
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