続報：横浜海の公園に春一番が吹きました

特派員報告＝神奈川県横浜海の公園支部
西村栄治（スピードウォール）

2月14日、水曜日。海の公園に今年も春一番が吹きました。
日本海の低気圧が小粒で、ちょっと微妙な感じではありましたが、数日前からそのときに向けていそいそと準備（主に海に出る時間確保のための各方面との折衝）を始めていました。

そして当日。頑張った結果与えられた時間は午前中。風予報は午後から強風。仕方ない。
とにかく車を走らせ、海に向かいます。まだまだ朝は冷え込みがきつく、風も北風。それが途中、磯子区のあたりで無風になり・・・。フロントガラス越しの日射しは春を思わせるように力強く、気温もグングン上がっていきます。
「これは予報より早めに吹いてくるかも」

家を出て１時間後、ショップに到着。店長に挨拶をして、チャッチャカ道具を台車に積み込んで、コロコロと海の目の前の芝生エリアへ。目に飛び込んで来たのは、期待はずれの東風。しかも少し勢いが強い。八景島からビーチに向かって真っ直ぐに吹いてくるこの風はすごく強くなることは滅多になく、しばらくプレーニングできないことを意味します。しかも人影もまばら。そういえばピョンチャンでスノーボード・ハーフパイプ決勝が今まさに行われている最中か。みんなまだ家にいるのかも。それともチョコレートの愛の日にウインドサーフィンにうつつをぬかすと破局が目に見えているからなのか。いやいや普通は仕事中でしょ！

とりあえずセッティングだけを済ませて、いったんショップに戻り、テレビ観戦。
日本のエースが２本目でトップに立ち、米国の絶対王者がミスしたところで、エースの金メダルを確信し（残念ながら結果はみなさんご存知の通り）再びビーチへ。まだ東風。でももう時間がない。吹いてくると信じて右手にボード、左手にセイルを抱えて入水。キンキンに冷えた東京湾の水は相模湾に比べ２度ほど低いか？

僕は一番ブローが好きです。『一番ブロー』とは、その日そのゲレンデに最初に吹くプレーニング可能な風のこと。
まぁ、勝手にそう呼んでいるだけです。お察しの通り『一番風呂』をもじっています。まだ風に荒らされることなく、海面はまっ平ら。誰の航跡にも削られていないので、それはもう極上の絹のようななめらかさ。それを良く研いだハサミでサーッと切って行くような・・・その快感といったら。

一番ブローをつかむためには、風がまだ弱いうちに沖へ出ていなければなりません。しかも、この日のように風向きが変わって吹いてくるようなときには、しばらく無風になったり、風がクルクル回ったりするものなので、ボードの上に立っていることさえしんどいことが多いもの。でも、その苦労の先にある快感を思えば大したことはありません。
案の定、無風、南、北東、西南西、東、南東と変わった末に、ついに来ました本命の南風。平潟湾から金沢漁港をかすめて海面をザワつかせる一番ブロー。まだまだ本格的な強風にはほど遠い風速4.5m/s。僕のセイルサイズはかなり小さめの5.3㎡。でも海面が超フラットな今なら大丈夫、プレーニングできる。ブローが届く前に心の準備。フレッシュなブローがセイルにまとわりつくのを感じたら、ストラップに足をツッコミ、思い切りパンピング。ボトムが水から剥がれると一気にスピードが上がっていく。くうぅーっ、ちょー気持ちいいー。

この一本で時間切れ。まだ風の足りないインサイドをヨロヨロと走り、ボードとセイルを頭に担いで砂浜を歩き、元の芝生エリアに戻ったら、乾くのを待つこともせずセイルを丸めて再び台車に載せて帰ります。セイリングタイム、わずか30分。その内プレーニングしていたのは数秒間。プレーニング率は１%にも満たない。それでも満足度はと問われれば95.25ポイントをつけてもいい。「最高」には届かないけど、十分。いやそれ以上でした。

その後、風は順調に上がり10m/s前後に。セイルサイズでいうと5㎡台から6㎡。『CBサーファーズ』のホームページで確認してみると、湘南の逗子では4.5㎡まで吹き上がったようなので、やはり湘南に比べると海の公園では２サイズほど大きなセイルでいける（そのぶん風が弱まる）模様。で、この日の風向きは何故かいつもの春一番より西寄りにシフトしてガスティだったようです。平日にもかかわらず海上のウインドサーファーの数も6人まで増えました。休日ならもっと賑わったことでしょう。これからの季節には有給休暇を取って海の公園に来る人も増えるかもしれません。

こうして縁起モノである『春一番の一番ブロー』いただきました。福男になった気分です。この後も春二番、春三番と吹いて、春の強風シーズンは例年ゴールデンウィークごろまで続きます。楽しみですね。2018年も海の公園の皆さま、よろしくお願いいたします。ではまた。『吹く男』でした。

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