トップライダーの言葉_07 / リーバイ・サイバー

ジョーズのボウルで宇宙を感じる

─── 2006年2月5日、アメリカン・スーパー・ボールが開催されたその日、
もうひとつのスーパー・ボウルがブレイクした。マウイ島・ノースショア・ジョーズ。
 突然のようにそそり立つ12メートル超の大波が、巨大な半円球状の競技場を作り出し、
そして突然のようにブレイクしたのだ。そこに勝利は生まれない。
男どもは、ただ同調と達成を果たすためにその海へ出た。

以下はその中の一人、リーバイ・サイバー(USA-0 / 当時25歳)がライディング後に述べた言葉だ。
(▼写真は2016年マウイ島ホキーパビーチで開催された『アロハクラシック』からの1カット。
「その日」のジョーズで撮影したものではありません)

Levi Siver(USA-0)Aloha Classic 2016, Hookipa, Maui ⒸJohn Carter_pwaworldtour.com
Levi Siver(USA-0)Aloha Classic 2016, Hookipa, Maui
ⒸJohn Carter_pwaworldtour.com


リーバイ・サイバー
:その朝は、まずはジェットスキーとウインドの道具を点検して、それからビデオとスチールのカメラマンを手配した。自分を危険にさらすときには、その証が欲しくなるものなんだ。
午後、ジェットスキーで沖へ。これが辛い。すごく揺れるから船酔いしちゃうんだ。
やっとアウトへ出て、50フィートの波でウインドしようってときにはもう最悪の気分になる。

だから最初は(波がブレイクしないところまで)沖へ出て酔いを醒した。
で、行くかと最初の波にテイクオフ。と、先にロビー(ナッシュ)がその波に乗っていた。でもさすがにロビーだ。僕に道を譲ってくれてね。それで凄い大波にロビーとデュアルライドすることができた。どぴゅーっ。アドレナリンが出まくったよ。おかげでその後はリラックスして乗れるようになった。

楽しかったな。最高の仲間たちと一緒だったからね。普通あの波でやるか? リップ&プッシュ(rip & push)するか? それをみんながやるから、こっちもどんどんポジティブになっていく。波のエナジーと僕らのエナジーがハイブリッドしていく。

閉じ込められているようで、でも普通ではあり得ないほどに解放されている。
そのとき宇宙の一部になる、って感じかな。まあいつだって宇宙の一部なんだけどさ。

沖を流しながら、ブレイクする寸前の波の裏の観察もした。普通波のトップ付近の水は薄くなって、光が透けて見えるんだけど、ジョーズのトップは暗かった。風が吹き上げる水しぶきは、トップからさらに30フィートくらいの高さに達していた。かなりの威圧感だったよ。

で、結局どんな一日だったかって? その日を終えてマリコベイに戻ったとき、僕とジェイソン(ポラコウ)とロビーとで、夕日をみて『きれいだね』って笑った。そんな一日。気持ち悪いね。

───閉塞から解放へ、究極の緩急がジョーズにはある。
僕らのホームゲレンデにもそれはある。自分にとってチャレンジングなコンディションは巡ってくる。僕らはウインドサーフィンを通して、ウインドサーフィンでしか得られない(圧縮爆発的)開放感を感じとることができる。
ジョーズライドで得られるその感覚はどれくらいのものなのか? 自分の体験を通して(その体験を増幅させて)それを想像するのはとても楽しい。「ったくなんてやつらなんだ!」とか言いながら。

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▲リーバイ・サイバー Levi Siver(USA-0)1991年、11歳のときプロウインドサーファーになるために マウイに移住。10代前半から20代前半までは積極的にワールドツアーに参戦。13歳でバハ・カリフォルニア・ ワールド杯で5位入賞、2013年『アロハクラシック』優勝など、これまでにいくもの好成績を残す。 だが彼のメインターゲットはコンテストにではなく、常に「理想的なコンディションで質の高いストーリーを作ること、 競争よりも創造性を表現するウインドサーフィンを追求すること」にある。ダイナミックかつスムーズな動きでflow (流れ)を継続できる数少ないスタイルキングの一人。マウイ島・ハイク在住。1980年12月23日生まれ、37歳。 ⒸJohn Carter_pwaworldtour.com
▲リーバイ・サイバー Levi Siver(USA-0)1991年、11歳のときプロウインドサーファーになるために
マウイに移住。10代前半から20代前半までは積極的にワールドツアーに参戦。13歳でバハ・カリフォルニア・
ワールド杯で5位入賞、2013年『アロハクラシック』優勝など、これまでにいくつもの好成績を残す。
だが彼のメインターゲットはコンテストにではなく、常に「理想的なコンディションで質の高いストーリーを作ること、
競争よりも創造性を表現するウインドサーフィンを追求すること」にある。ダイナミックかつスムーズな動きでflow
(流れ)を継続できる数少ないスタイルキングの一人。マウイ島・ハイク在住。1980年12月23日生まれ、37歳。
ⒸJohn Carter_pwaworldtour.com