|| 今年も津久井浜でW杯開催決定
(9月28日、神奈川県横須賀市役所にて記者発表)
今年も津久井浜(神奈川県横須賀市)でW杯が開催される。▶︎期間は11月10日(金)から14日(火)までの5日間 ▶︎種目はスラローム(下の動画参照)だ。つまりこの間、世界のトップライダー約100名が津久井浜に集結し、そこに『最速の世界』が生まれるということになる。
|| 今季最終戦『最速のドラマ』が始まる
第5回目となる今大会は2023年のPWAワールドツアー最終戦でもある。熾烈なバトルが展開されることは間違いない。去年の大会でもそうだった。トップを狙う選手らは少しでも前に出るべく血眼で疾走し、ほぼノーブレーキでマークを回り、フィニッシュラインまで適切なポジションを奪い合った。見事な独走があり、壮絶な鍔迫り合いがあり、劇的なクラッシュがあった。
そして大事なことがひとつ、その大会で証明された。
現在のスラロームは「ミックス・スラローム」と呼ばれ、選手はフィン(従来の垂直安定板の付いた接水艇)とフォイル(水中翼を有する浮揚艇)からレースに使用するボードを選択できる。なぜそうなったかといえば、少し(つい3年くらい)前までは「ライトウインドならフォイル、強風ならフィンの方が速い」というのが定説であったからで、それならばどちらでも使えるようにした方が大会が盛り上がるし、その方が「世界一速いレーサーを決めるに相応しい」ということになったのだ。
しかしその定説が去年の『ANA横須賀・三浦W杯』で覆った。大会4日目、マックス35ノット(17.5m/s)の爆風レースでフォイルがフィンに圧勝したのだ(https://windsurfing-mag.jp/news/2022/11/13261/)。フィンは速いはずの強風でも、フォイルにまったく歯が立たなかった。そのとき時代が変わった。フォイルは「全風域で速い」ことをこのレースで証明し、以後ワールドツアーでフィンを選ぶ選手は激減した。
現在のスラロームは───超強風下では少しだけ話が違ってくるけれど───ほぼ「フォイル・スラローム」である。そしてフォイルはそのデザインや前後のフォイルの組み合わせ、取り付け角度の調整などにより、今も急速な進化を続け、日々「最速」を更新し続けているといっていい。
そんな「世界」が津久井浜にやってくるのだ。世界のトップレーサーが最先端のウインドサーフィン・システムに組み込まれたとき、そこにどんなスピードとドラマが生まれるのか。日本選手は世界と戦うことができるのか。興味は尽きない。ぜひ現地で(あるいはライブ配信で)目撃されたい。
|| 世界との距離・日本選手コメント
金上颯太(JPN-16)▶︎「中学3年生、15歳のときに(2017年の)第1回大会を実際に見て、将来この大会に出て絶対に活躍してやる、という思いでやってきました。今年は3回目の出場となりますが、去年はベスト16を目指して悔しい思いをしたので、今回はベスト8を目標にします。そう、去年までの僕は海外の選手と比べて、スピードやレースタクティクスで明らかに未熟でした。それらの面を改善して、体も絞って、いいトレーニングを積み上げた状態で大会に臨みたいと思っています」
須長由季(JPN-470)▶︎「(いつも自分が参加している)オリンピック・クラスとプロのレースでは使用道具がワンデザインかそうでないかの違いがありますが、フォイルを使ってスラロームをするというのはほぼ同じです。そして自分にとって共通の課題はスタートダッシュです。プロ選手はよりレベルの高いスタート技術をもっていると思うので、そこで負けないように戦うことができれば、それがオリンピックにもつながると思っています」
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