石井颯太、石井孝良、杉匠真、松井晴_PWAポッゾ大会

PWA WORLD TOUR 2019
EVENT_06 / Wave Men & Women #1
July 12-July 19 / Pozo Izquierdo, Gran Canaria, Spain
All Photo by John Carter_pwaworldtour.com
聖地で急成長する “J-ボーイズ”

(PWA ワールドツアー・グラン カナリア・ウインド&ウェイブ・ワールドカップ/7月14日、大会3日目)
ユースクラスの戦いが終わった。先に紹介した(7月11日の記事参照)日本の4人の結果はどうだったか?

Haru Matsui(J-816)/ ⒸJose Piña
Haru Matsui(J-816)/ ⒸJose Piña

▶︎松井晴(14歳)=U-17クラスの第1ラウンドで敗退、リパチャージ(敗者復活戦)でも敗れた。初めてのワールドカップに緊張し、おまけに「アンダー(セイル)で固まって」思うように動けなかった。彼のフェイスブックにはこうもある。「めちゃくちゃ悔しいです。実力もメンタルも課題だってわかった内容でした」

だがリパチャージのヒートは決して恥ずべきものではなかった。松井はマウイの次世代の牽引者の一人であるジェイク・シェテウィの弟、ザッカリー・シェティウィとまるで別人になったかのように接戦を展開した。彼は一日でウェイブライダーとしての戦闘力を大幅に高めてみせたのだ。

Hayata Ishii(J-775)/ ⒸJohn Carter_pwaworldtour.com
Hayata Ishii(J-775)/ ⒸJohn Carter_pwaworldtour.com

▶︎石井颯太(14歳)=PWA初参戦にしてU-15クラスで初優勝を遂げた。PWAのリポートにはこうある。「ハヤタ・イシイはトビアス・ビオーナやジュリオ・ガスペリーニらの強敵を前に、フォワードとバックループを見事にメイクし、さらにはエクセレントなウェイブライディングをリンクさせてこのクラスでは群を抜く強さを証明した」

つまり圧勝だった。この若さでバックループ! と驚くが、彼はすでにワンハンドバックループまでメイクしている。彼がセンスの塊である上に負けず嫌いなことは知っていたが、今回はここ一番での強さも発揮した。今のところハヤタに死角は見当たらない。同年代のライバルたちはそう思っているかもしれない。それは今後の彼の大きなアドバンテージになるはずだ。

Takuma Sugi(J-7)/ ⒸJohn Carter_pwaworldtour.com
Takuma Sugi(J-7)/ ⒸJohn Carter_pwaworldtour.com

▶︎杉匠真(16歳)=U-20クラスのクォーターファイナル(ベスト8の戦い)で敗退。2016年からポッゾ、テネリフェと続くスペイン・カナリア諸島シリーズに参戦し、これまで出場した5つの大会すべてでユースクラスの表彰台に立っていたのだが、今回は波の小さい難しいコンディションの中「地元の波乗りの上手い子(ヴァレンチーノ・パスクアーレ /E-201・18歳)に敗れ」てしまった。

もしかしたら去年テネリフェのU-17クラスで優勝し、ディフェンディング・チャンプとしてこの大会に臨んだことがプレッシャーにつながっていたのかもしれない。でももう終わったことだ。杉自身「敗因はわかっているつもり、そこに抜けがあるから」と、次の課題を見つけている。ならば問題はない。こういうこともある。

確かなことは、今回の負けたからといって彼に対する評価が落ちることはないということだ。杉は試合前から「果敢にダブルフォワードにチャレンジする少年がいる」と現地のギャラリーや関係者に注目されている。どうやらその大技ももう少しで完全にマスターできるところまできているみたいだ。杉がその必殺技を身につけ、いま感じている「抜け」を埋められれば「世界のとんでもない若手」になるにきまっている。

Takara Ishii(J-20)/ ⒸJohn Carter_pwaworldtour.com
Takara Ishii(J-20)/ ⒸJohn Carter_pwaworldtour.com

▶︎石井孝良(18歳)=U-20クラス準優勝。以下彼のブログのコメント。「過去3年、直接対決で負けていたヴァレンチノ・パスクアーレ / E-201・18歳)に最高のパフォーマンスで勝てました。決勝のマリーノ・ギル(E-959・16歳)との対戦ではセイルサイズをミスしてしまい、焦りで思うように動けず、結果は2位となりました。悔しいですが、スペインの大会で表彰台に上がるのは初めてなので、得るものはたくさんありました。ヒート中に360を2回決めることができ、パフォーマンスはかなり納得できるものでした」

この数年間、石井はPWA(プロフェッショナル・ウインドサーファーズ・アソシエーション)よりもIWT(インターナショナル・ウインドサーフィン・ツアー)の大会により積極的に参戦してきた。ポートの風(海に向かって左から吹く風)が吹くゲレンデに行き、そこで練習を重ね、より多くの大会に出場するためだ。

5歳の頃にウインドサーフィンを始め、スタボーの風(海に向かって右から吹く風)が吹く御前崎で成長してきた石井は、ポートのゲレンデに苦手意識を持っていた。それを解消すべくこの数年は武者修行を続けているのだ。おそらく石井は、その成果をこの大会で(ポートの強風ポイントであり、ウェイブパフォーマンスの聖地といわれるポッゾで)感じることができた。克服した(あるいは克服しつつある)苦手意識は、今後の石井を強力に支える柱のひとつになるだろう。

※7月15日、大会4日目、速報───プロクラスに出場した石井孝良は1回戦でイギリスのベン・プロフィットに敗退(トータルポイント=18.14:20.62)。同じく杉匠真は1回戦でニューカレドニアのアントワン・アルバートに勝利し(15.43:14.30)2回戦で2013年のPWAウェイブワールドチャンプ(杉も石井も「彼が一番」というところの)マルシリオ “ブラウジーニョ” ブラウンに敗れた(19.12:28.20)。だがこれで終わったわけではない。二人はダブルイリミネーション(敗者復活戦)にまわり、また戦いを始める。松井晴も石井颯太も、ここで世界のトップの技を盗むべく練習を重ね、そして四人揃って8月のテネリフェ大会に出場する予定だ。彼らがどこまで行けるか、注目されたい。

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U-15 Podium/ ⒸJohn Carter_pwaworldtour.com
U-15 Podium/ ⒸJohn Carter_pwaworldtour.com
U-20 Podium/ ⒸJohn Carter_pwaworldtour.com
U-20 Podium/ ⒸJohn Carter_pwaworldtour.com

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