ウインドサーフィン・エッセイ_01

目標などない方がまし、かもしれない
Text=Takayoshi “Yanmer” Yamamoto(HALE Surf & Sail_Enoshima)

ⒸFanatic 2020_John Carter
ⒸFanatic 2020_John Carter

初めてウインドサーフィンに乗ったとき、無我夢中でブームを握り、海の上を滑った。そのときに感じた初めての感触を求めて海に通うようになった。

そして ─── 落ちずに戻ってこれるようになろう。プレーニングをマスターしよう。レイルジャイブもジャンプも決めてみたい。ウェイブに乗りたい。空中回転もしてみたい。綺麗なラインを描いてリッピングもメイクしたい ─── と、定めた目標を超えてきた。

それらをクリアできているうちはいい。けれどそのうち必ずクリアできない壁にぶつかる。目標が見えなくなる。目標を立てることにさえ関心が向かなくなり、ウインドサーフィンが退屈になる。

そういう経験が僕にはある。でもウインドサーフィンが退屈なわけはない。自分の頭の中が退屈になっただけだ。

大きな原因のひとつは「次はこれをマスターしよう!」と目標を立てることにある、と思う。目標は達成以外のすべてのことを退屈なものにしようとするからだ。

そんな目標ならいらない。僕は「できるようにやってみる」という気持ちで次の課題にトライするようにしている。と、失敗も試行錯誤も小さな上達もそれ以外のことも、すべてをプロセスとして楽しめるようになる。

目標はもたなければいけないものではない。大切なのは脳内をオープンにして、辿るべき道を探すこと。道草さえ楽しむ余裕を忘れないこと。なんて思うのですが、いかがでしょう。

─── 山本隆義(ハレ サーフ&セイル_江の島

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