小林悠馬のフリージャイブ・クリニック

─── 編集余話 08 ───
ニッポンのフリスタ・キングが教えてくれる
「フリーライドでジャイブをドライブさせるコツ」

8月8日、本栖湖、快晴。いつもより早く昼前から風が吹き始める。

「フリーライドボードとノーカムセイルで、つまり普通の人たちが使うのと同じ道具で、いかにジャイブをドライブさせるか、その方法を教えてください」僕らのリクエストに日本のフリスタ・キング、小林悠馬は快く応じてくれた。

Yuma Kobayashi(J-100)/ ⒸTetsuya Satomura
Yuma Kobayashi(J-100)/ ⒸTetsuya Satomura

「いくつかのコツがあります。それらを一度に全部覚える必要はありません。自分が一番気になるところから試してもらえばいいと思います。一部を矯正できれば、全体のレベルも向上していくはずです。ジャイブは短時間でメイクするものです。一気に全部というのはなかなかできるもんじゃありません。だからひとつずつ・・・」

小林は『スターボード / カーブiQ 114ℓ』+『セバーン / NCX 7.0㎡』で出艇し、何十回もジャイブにトライしてくれた。いや本当に何十回もやってくれたので、僕は申し訳ない気持ちになり、一度岸に上がってもらったときに「すみません、疲れましたよね」と声をかけた。と、彼は言ったのだ。「いやだいじょぶです、ジャイブくらいじゃ全然疲れません」

彼はほとんどの場面で脱力している。さすがはPWAツアーでも戦ってきた男だ。不要な力を使っていては世界のフリースタイルのステージで戦えるわけがない。小林は100球前後で完投するメジャーリーグの投手のように、緩急を使い分け、できるだけ「急」の部分を排除する方法を知っているのだ。そんな彼が挙げたジャイブのポイントはどこにあるのか。

それは───下る/セイルを閉じる/しゃがむ/マストとボードの傾きを合わせる/引き込みすぎず、開きすぎず/ベアしながら送り出す/セイル返しのタイミング/ボードの傾きをキープする/前でさばく/ノーズの浮きを抑える───というところにある。詳細については『Windsurfing MAGAZINE Vol.7』で解説する。お楽しみに。

Yuma Kobayashi(J-100)Lake Motosu, Yamanashi, August 8, 2019
Yuma Kobayashi(J-100)Lake Motosu, Yamanashi, August 8, 2019

繰り返す。小林悠馬先生は日本のフリスタ・キングとして世界と戦ってきた男だ。どんなに複雑なトリックもジャイブも同じ、基本の上にしか成立しないことを知っている。故に何を教えるにしても基本を外すことはない。道具はフリーライドボードとノーカムセイル。たぶんあなたの道具と同じだ。だから聞いたことのないような話はするかもしれないけれど、無理なことは何も言わない。

なんとなくジャイブができている人も、まるでできないあなたも、いったん全てをリセットして、頭の中をまっさらにして、小林先生のアドバイスを聞いてほしいと思う。それでジャイブは今より確実にドライブするようになるはずだから。

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