10月7日、ドイツ・シルトで行われていた『スーパーグランドスラム大会』が終わり、今季PWAワールドツアーの全日程が終了した。と同時に、思いがけないビッグニュースが飛び込んできた。
穴見知典が今年新たに正式種目となったフォイルで初代ユース・ワールド・チャンピオンになったのだ。なぜ思いがけなかったかといえば、ユースクラスが設定されていることを知らなかったからだ。おそらく穴見自身もそうだった。少なくともそのクラスでトップ争いをしていたことを意識してはいなかったものと推測できる。彼は自身のブログに「なんと、フォイルのユースチャンピオンになりました! 表彰式前に PWA のスタッフから教えられて正直驚きで信じられませんでした」と書いている。
でもよかった。穴見は2015年18歳でPWAツアーにデビューして以来、ずっと世界最高峰の舞台に身を置いてきた。スラロームでは世界のトップに打ちのめされ、フォイルでもなかなかトップ集団に絡むことができなかったが、それでもタフでストレスフルな挑戦を諦めなかった。彼を支えていたのは周囲の応援と、大会ごと、レースごとに明らかになる「課題」だったのではないかと思う。彼はそのたびに自分の伸びしろを感じ、また頑張ろうと思うことができた。四年間努力と経験を積み重ねて、自分を成長させることに成功した。そして見事な結果を手に入れた。
2017年にPWAがエキジビション種目として採用して以来、この二年でフォイルは猛烈に進化している。フォイルもボードもセイルも日々開発が進められ、その組み合わせは複雑化している。かつてスラロームの延長線上にあったその競技は特異化し、今では最先端の専用ギアがなければ勝てないものとなっている。
穴見はそういう特別な道具を持っていたわけではない。すべて市販のプロダクションギア(スターボード+セバーンセイル)で戦った。微風時には10㎡の専用セイルも当たり前になったその世界で、スラロームにも使用する8.6㎡で粘り強く走り、飛び続けた。そして王座を獲得したのだ。
穴見知典、21歳 ─── 2018年PWAスラロームランキング50位、ユース6位。 同フォイルランキング26位、ユース1位!
日本の選手がPWAのレース種目で年間王者になったのはもちろん初めてのことだ。快挙である。おめでとう。
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