石井孝良「世界のプロ」の仲間入り

Takara Ishii(J-20)PWAに認められた17歳

今年4月、モロッコで行われたIWTツアーの第一戦『モロッコ・スポットX・ウインドサーフィン・ワールド・カップ』において、日本の石井孝良がユースクラス(U-20)で優勝、プロクラスでもファイナルに進出し4位の成績を残した。

IWT『Morocco Spot X Windsurf World Cup 2018』のファイナリスト。 左から石井孝良、アントワン・マーチン、ボジュマ・ギロール、 モーガン・ノイロー / Photo by Nick Jones_IWT
IWT『Morocco Spot X Windsurf World Cup 2018』のファイナリスト。
左から石井孝良、アントワン・マーチン、ボジュマ・ギロール、
モーガン・ノイロー / Photo by Nick Jones_IWT

IWTとは International Windsurfing Tour の略称で、その名の通り世界のグッドスポットでウインドサーフィンの大会を主催し、選手に活躍の舞台を提供している団体である。PWA(Professional Windsurfers Association)とも良好な関係にあり、例えばマウイで行われる『アロハ・クラシック』などにおいては、両団体が連携・協力して大会を成功させている。その前身であるAWT(American Windsurfing Tour)が設立されたのが2010年と、まだ歴史が浅いために日本での知名度は高いとは言えないが、世界では、特に選手のあいだでは、IWTの大会は「もうひとつのワールドカップ」として認められ定着している。

2001年生まれで17歳の石井孝良は、そこで結果を出した。プロクラスのファイナリストの一人になったのだ。
1位:アントワン・マーチン(Antoine Martin / F-193)24歳(2016年PWAウェイブ年間ランキング9位)
2位:モーガン・ノイロー(Morgan Noireaux / HI-101)23歳(2014、2015年アロハクラシック連覇)
3位:ボジュマ・ギロール(Boujmaa Guilloul / M-3)33歳(モロッコのエアリアル・モンスター)
4位:石井孝良(Takara Ishii / J-20)17歳(2017年アロハクラシック・ユースクラス優勝)
この顔触れをみればそれがどれだけ凄いことかがわかるだろう(➡︎頁最下部に関連動画)。

モロッコ・ムーレイ・ブザークトゥーヌ。 風速は20-30ノット、年中スタボーのトレードウインドが吹き付ける。 北のスウェルをダウン・ザ・ライン。水は冷たい。
モロッコ・ムーレイ・ブザークトゥーヌ。
風速は20-30ノット、年中スタボーのトレードウインドが吹き付ける。
北のスウェルをダウン・ザ・ライン。水は冷たい。

で、なぜいま三ヶ月前のことを書いているかといえば、この事実をはっきりと伝えておきたかったから。そしてここまでに積み重ねてきた石井のキャリア(プロフィール参照)が、この15日から始まる今季PWAウェイブツアーの開幕戦『ポッゾ大会』につながり、ひとつの実を結んだと思えたからだ。そのプロクラス(48名)のエントリーリストには Takara Ishii(J-20)の名とセイルナンバーが記されている。石井のブログによれば「一昨年も去年も」申請したが受理されず、出場することができなかった。その舞台に今年は立つことができるのだ。石井はPWAに世界のトップライダーの一人として認められたということだ。

彼は今、マウイと並んで「ウェイブのメッカ」と言われるポッゾ(スペイン領・カナリア諸島のひとつであるグランカナリア島にある強風ポイント)で、そう次の大会が行われるその場所で練習を重ねている。そこに長期間滞在して、世界のトップライダーたちとともに腕を磨き続けている。最近は「プッシュループ、ワンフット・バックループ、ウェイブ360、T-プッシュループ、タカ」などもメイクして、今はその精度を上げているところらしい。

17歳でこのレベルに到達した日本人はいなかった。おそらく石井は世界でも「珍しい」選手の一人だ。
いま再度確認してみたら、そのリストの中には Takuma Sugi(杉匠真 / J-7)の名前もある。彼はまだこの7月に16歳になる少年だが、2016年、17年と『アロハクラシック』のユースクラスで2位になるなど、その年代で誇るべきキャリアを重ねている。この文章は『モロッコ大会』を端緒に書き始めたので詳しくは触れないが、彼もまた石井と切磋琢磨して世界一を目指す逸材であることに変わりはない。

PWAウェイブツアー第一戦『Gran Canaria Wind & Waves 2018』は今度の日曜日に始まる(7月15日~21日)。
僕らは、そして世界のトップライダーたちは、石井と杉のパフォーマンスに二人の近い将来のイメージを見ることになるだろう。おそらくそれは小さくはない脅威を伴うものになるはずだ。

▲石井孝良_Takara Ishii(J-20)5歳のときにウインドサーフィンを始める。小学6年生でジュニアユース選手権 高学年の部(レース)優勝。中学2年時『オール・ジャパン・ウェイブ・クラシック 2015』ビギナークラス優勝。 同年11月、さらに翌年の『アロハ・クラシック』では二年連続でユースクラス(U-21)3位。2017年にはついに 同大会、同クラスで優勝を果たす。2018年 IWT『モロッコ・スポットX・ウインドサーフ・ワールド・カップ』 ユースクラス優勝、プロクラス4位。「世界一を目指す」日本のユースの旗手の一人。2001年静岡県生まれ、17歳。 Moulay Bouzerktoune, Morocco / Photo by Nick Jones_IWT
▲石井孝良_Takara Ishii(J-20)5歳のときにウインドサーフィンを始める。小学6年生でジュニアユース選手権
高学年の部(レース)優勝。中学2年時『オール・ジャパン・ウェイブ・クラシック 2015』ビギナークラス優勝。
同年11月、さらに翌年の『アロハ・クラシック』では二年連続でユースクラス(U-21)3位。2017年にはついに
同大会、同クラスで優勝を果たす。2018年 IWT『モロッコ・スポットX・ウインドサーフ・ワールド・カップ』
ユースクラス優勝、プロクラス4位。「世界一を目指す」日本のユースの旗手の一人。2001年静岡県生まれ、17歳。
Moulay Bouzerktoune, Morocco / Photo by Nick Jones_IWT

────────────── Windsurfing Magazine ────────────── ウインドサーフィン マガジン ──────────────