マテオ・イアチーノ『セバーン』へ移籍

「世界のトップへ」挑戦が始まる
〘ANA 横須賀W杯_2018年5月10日開幕まで_あと104日〙

Matteo Iachino and his new wing, Severne
Matteo Iachino(ITA-140)and his new wing, Severne

『ポイント-7』から『セバーン』へ。2018年1月1日、マテオ・イアチーノ(ITA-140)の移籍が発表された。
マテオは2016年から2017年まで二年間『ポイント-7』に在籍し、その初年度には自身初のワールドタイトルを獲得、去年もランキング2位の結果を残している。その原動力として十分に機能したセイルを手放し、新たなチームに移るのだ。当然リスクは伴う。それまで使ったことのない真新しいセイルを、ワールドカップレベルで自分のものとするためには、いくらトップレーサーでもそれなりの時間を要する。同じ馬力でも最高速の引き出し方が異なるエンジンがあるように、いざ使ってみたら自分に合わないセイルだった、ということだってないわけではない。

2017 Overall PWA Constructors Ranking(Sail Brand)
2017 Overall PWA Constructors Ranking(Sail Brand)

だがマテオは決断した。今季スラロームのワールドタイトルを奪還するには、10×ワールドチャンプの巨人、アントワン・アルボー(F-192)を倒さねばならない。リスクのないところに、彼に先んずるに足るリターンは見つけにくい。そう思ったのかもしれない。

『セバーン』も本気だ。2017年、PWAのコンストラクターズ・オーバーオールランキング・セイルブランド部門で、セバーンはマテオと同じく2位だった(※ランキング表参照)。ウェイブ部門ではトップ、フリースタイル部門では2位だったのだが、スラローム部門で5位タイであった───同部門でのセバーンの最高位はシリル・ムッシルマーニ(F-71)の13位だった───ことが響いて、そのタイトルを『ノースセイル』にもっていかれた。

マテオにもセバーンにも、トップに上り詰めるためには思い切ったテコ入れが必要だった。
両者は大胆かつより確率の高い方法を模索する中で、おそらく互いをパートナーとするのが一番だという結論に達した。
惹かれ合って、信じ合って、ともに戦う。その初戦が2018年の開幕戦『横須賀W杯』ということになる。

『セバーン』という新たな翼でマテオはどれだけリフトできるか。世界の2位とトップの間にある、高くて強固な壁を飛び越えられるポテンシャルを示すことができるのか。あるいはいきなり飛び越えてしまうのか。
楽しみだ。と思いませんか? セイルが変われば走りは変わる。フェラーリとメルセデス、エンジンが変わればレーシングカーの走りが変わるのと同じだ。当たり前のことなのだが、PWAワールドツアーの中でそのことが語られることは多くない。なぜだろう? その違いを確認するのは、レースを戦う上で重要なポイントだろうし、レースの楽しみ方のひとつだと思うんだけれど。まあとにかく楽しみだ。よかったら今季開幕戦の注目点のひとつにしてみてください。

Matteo Iachino, To recapture the world title
Matteo Iachino(ITA-140), To recapture the world title

(▼以下『PWA』のウェブサイトより)
マテオ・イアチーノ、新たな挑戦へ:
「僕はこの二年間(『ポイント-7』の)『ブラック・チーム』の一員として戦ってきた。『ポイント-7』とそのボスであるアンドレア・クッキー(I-1)は(2016年には)僕がPWAでワールドタイトルを獲るための(2017年には)同じく準チャンプ(ランキング2位)になるための武器(セイル)を与えてくれた。僕はまず『ブラック・チーム』のみんなに言いたい。今の僕があるのはみんなのおかげだ、ありがとう。

そして2018年、動くべきときが来た。僕は『セバーン』のボスであるベン・セバーンと彼が信頼するスタッフの何名かとコンタクトをとり、そのことを確信した。彼らはレーシング(系セイルの開発)に有用な大きな力を求めていた。
彼らが開発した(2018年モデルのレーシングセイル)『マッハ 1』は素晴らしいセイルだ。僕と(チームライダーの)ゴンザロ(コスタ・ホーベル / ARG-3)には、そのセイルをさらに進化させるためのミッションが与えられることになった。ゴンザロとは何度もレースを戦ってきた仲だ。彼とともにセイルのR&D(研究・開発)を進めていけることにもわくわくしている。そんなわけで僕は今年『(ブラックチームから)レッド&ブルー(セバーンチーム)』に移籍することを決断した。これから様々な物事のトリムが始まる。新しいシーズンの新しいチャレンジが始まるんだ!」

(▼以下『セバーン』のウェブサイトより)
マテオ・イアチノのコメント:
「移籍を決断するのは簡単なことではなかった。でも今はセバーンチームの一員になれたことをとても嬉しく思っている。最初に新しい(セバーンの)セイルを試したとき、僕は次の勝利へのステップを踏み出すために、それが必要だと感じた。ベン・セバーンと初めて話をしたとき、彼が本当に最速のセイルを作りたがっているという熱意を感じることもできた。勝つために何か特別なものを開発することに全チームが集中する───その熱を感じることは、ワールドカップのレースを戦うなかでもっとも高揚する場面のひとつだ。(このチームならその興奮を得られると感じた)

僕はすでに(チームメイトの)ゴンザロ・コスタ・ホーベル(ARG-3)と『スターボード』のボードと『セバーン』のセイルのR&D(研究・開発)を始めている。このチームの一員になると決断したことが、僕を確実に前進させてくれていると感じている。そして確信もしている。今季は特別なシーズンになるだろうと」

ベン・セバーンのコメント:
「マテオをライダーに迎えたことは、ある特権を得たということ。彼の未来の結果に向けて、より速いエンジンを構築するための多くのインスピレーションを得たということだ。彼とともに仕事ができることに本当に興奮している。
僕らはマテオが真新しい『マッハ 1』でレースする光景をイメージしながら、彼の幸運を信じている」

▲マテオ・イアチーノ Matteo Iachino(ITA-140) 10歳でウインドを、18歳でスラロームを始める。 2009年20歳でPWAツアーにデビュー。2012年から2015年までのPWA世界ランキングは23位、10位、8位、3位。2016年、スターボード・ポイント-7チームに移籍。特に軽風から中風域のレースで強さを発揮し、 PWAスラローム王座を獲得。2017年、同2位。2018年、セバーンに移籍、タイトル奪還を目指す。 1989年9月22日、イタリア北西部・リグリア海(地中海)に面した港湾都市サヴォーナ生まれ、28歳。187cm、90kg。 ⒸJohn Carter_pwaworldtour.com
▲マテオ・イアチーノ Matteo Iachino(ITA-140) 10歳でウインドを、18歳でスラロームを始める。
2009年20歳でPWAツアーにデビュー。2012年から2015年までのPWA世界ランキングは23位、10位、8位、3位。
2016年、スターボード・ポイント-7チームに移籍。特に軽風から中風域のレースで強さを発揮し、
PWAスラローム王座を獲得。2017年、同2位。2018年、セバーンに移籍、タイトル奪還を目指す。
1989年9月22日、イタリア北西部・リグリア海(地中海)に面した港湾都市サヴォーナ生まれ、28歳。187cm、90kg。
ⒸJohn Carter_pwaworldtour.com

────────────── Windsurfing Magazine ────────────── ウインドサーフィン マガジン ──────────────

(▼Below from the PWA website)
Matteo Iachino moves on to a new challenge:
“I’ve been a black team rider for 2 years. Point-7 and Andrea Cucchi gave me the weapons to win my first world title and achieve a vice world champion title this year. I want to say thanks to him, Francesco and Pizza and for sure to all the other guys from the black team I got in touch during this journey and who gave me the power to get where I am now.

Now it’s 2018 and it’s time to move on. I got in touch with Ben Severne and the other guys from Severne. They wanted to go full power on the racing side. The new Mach 1 is just an amazing sail and the plan of development is great allowing me and Gonzalo to test whatever we want to speed up the evolution of the sails we use to race. I worked with Gonzalo a lot and I’m happy to start working with him on the sails too. I decided to move and to be red and blue from this year on. I can’t wait to trim everything and start a new season facing new challenges!”

(▼Below from the SEVERNE website)
Matteo Iachino
“I’m really happy to be joining the Severne team. It’s never easy to leave the old way for the new.
But after I had the chance to try the new sails I felt convinced with their performance and see them being the next winning step forward. Having talked with Ben Severne for the first time I could feel he really wants to build the fastest sails and he really wants to work hard towards this goal. Having a whole team fully focused on developing something different to win is probably the best feeling you could have when you’re racing at a World Cup level.

I’ve already been working with Gonzalo Costa Hoevel a lot during the board testing for starboard and I’m happy to start working with him on the sails as well. All of these factors together pushed me toward the decision of joining this team for the upcoming races. I’m confident we will have a special season ahead! “

Ben Severne
“It’s a privilege to have Matteo riding our sails. There’s lots of inspiration to build faster engines to power his future results. Really excited to have him involved.” We are looking forward to see Matteo racing on the brand-new Mach 1 and wish him the best of luck for the 2018 season.