THE SEQUENCE_2
DoubleForward by Philip Köster(G-44)
無闇に回っているわけじゃない

7月10日、グランカナリア島・ポッゾ。3×ワールドチャンプのフィリップ・コスターは、前に紹介したプッシュ・フォワードと、そしてこのダブル・フォワードでパーフェクト10のポイントを獲得、今季PWAウェイブ開幕戦に勝利した。しかしそれでも圧勝したわけではない。

ファイナルのポイント(ベスト2ジャンプ + ベスト2ウェイブ ピックアップ)ーーー
▶︎フィリップ・コスター(ジャンプ=10.00+10.00=20.00)+(ウェイブ=8.50+7.25=15.75)=35.75
▶︎ヴィクター・フェルナンデス(ジャンプ=9.12+7.12=16.24)+(ウェイブ=10.00+7.88=17.88)=34.12
ーーーフィリップはウェイブでの2.13ポイントのビハインドを満点のジャンプで何とか埋めて、わずか1.63ポイント差で辛勝したのだ。つまりフィリップは2本のジャンプがそれぞれ9点のハイスコアでも負けていた。
どんな「世界」だと思う。そんな「世界」なのだ。

ダブル・フォワードは、プッシュ・フォワードのように空中で回転モーメントを逆転させるわけでない。
だから思い切り高く飛んで、思い切りぐりぐり回っていけばいい、と思いがちだがそうではない。
アプローチのスピードと、ジャンプの高さ、そして回転速度をコントロールしなければ、安全に着水(テイルダイブ)することができない。例えば回りすぎてノーズから着水すれば、ブームやボードに顔面を強打するなどのリスクが高まる。その恐怖がこの技の難易度の高さにつながっている。
だから多くの場合、最初は回転を抑えて安全に失敗することから練習を始める。背中や尻から落ちることを学んで、そこから「こんな場合にはこれくらい」と、状況に応じたコントロールの塩梅を覚えていく。

でも普通はやらない。ダブル・フォワードは、ライバルがいて、採点者がいて、その成功を賞賛してくれるギャラリーがいて、そこで真剣に勝とうとするコンペティターがやるものだ。恐怖と闘いながら長い時間をかけてこの技をマスターするくらいなら、波乗りをしていた方がよっぽど楽しいと思うのが普通なのだ(そうですよね)。
でもこういう技が規定演技化している世界があることを嬉しく思わないウインドサーファーは少ないだろう。
そして日本にもこの技をマスターしようとしている若手がいる。
僕らはこの世界の裾野で遊んでいる。よかったですね。

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DoubleForward by Philip Köster(G-44)
@Pozo, Gran Canaria, July 2017
John Carter_pwaworldtour.com
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